放課後。
美術部員の私は、ひとり美術室へ向かう。
藍華ちゃんは帰宅部なので他の子と帰っていった。
「今日は何の絵書こうかな…」
渡り廊下を渡って美術室へ向かおうと歩いていると、下から何か煙臭い臭いを嗅ぎとった。
恐る恐る下を覗いてみると
そこには、う○こ座りで煙草を吸う王子がいた。
「あ…」
「あっ」
思わず声を出してしまった私は、その場を走って逃げ出した。
まさか、先生からも信頼されている、あの斉藤裕也があんなところで煙草を吸っているなんて。
「見なかったことにしよう…!!!」
走りながらそう呟いていると、目の前に人が現れた。
「おい」
「!!?」
その人は、あの斉藤裕也だった。
「お前、今の見たろ。」
「い…今のって…?」
とぼけてみると、相手の顔がさらに険しくなった。
「とぼけてんじゃねえよ。見たんだろ?俺が煙草吸ってんの。」
「みみみみみ見てないです」
「嘘つけ。目ぇ合っただろ。いいからさっきのは黙っとけよ芋女。」
い…いもおんな?
この瞬間、私の中の何かが切れた。
「…ざっけんな…」
「あ?」
「誰が芋女だふざけんじゃないよ!!たしかに私は地味ですよ!!
彼氏もいたことないですよ!!!でもね、あんたなんかにそんなこと言われたくない!!
大体あんたがあんなところで煙草なんかスパスパ馬鹿みたいに吸ってんのが悪いんでしょ!!?」
「お…おい…」
「煙草吸うならね、もっと分かりにくいところで吸いなさいよ馬鹿じゃないの!!?
見た私が悪いんじゃないわよ、あんなとこで吸ってるあんたが悪いの!!わかった!!?」
言いたいことを言い切った私は、息を整えるとともに思考を再始動させた。
そして、自分がとんでもないことを言っていることを理解した。
「あ…す、すみませんでした…」
恐る恐る相手を見ると、王子は見たこともないような綺麗な微笑みを見せた。
「お前、明日から覚えとけよ。」
私は目の前が真っ暗になった。
