「知的生産の技術」と言えば、梅棹忠夫さん。その梅棹さんの本に影響を受けて発足されたのが、このNPO法人「知的生産の技術」研究会。1978年に『わたしの知的生産の技術』という本を出版したこともあり、この本はその2010年版にあたる。
登場する方は、勝間和代さん、蟹瀬誠一さん、佐々木俊尚さん、土井英司さん、茂木健一郎さんといった有名人ばかりで、「知的生産」に興味のある人は一読の価値はあり。というより発売された2010年4月に自分も見逃していたのが恥ずかしい。
自分が特に印象に残ったのが、一番最初に出てくる関口和一さんの「自分データベースの構築」について。今ではかなり話題になってきているライフログ。これに近いモノを感じる。
なお関口さんが注意される自分データベースの活用ポイント
1. 情報は1箇所にまとめる
2. 検索できなければ情報じゃない →検索できない情報はゴミ
3. デジタル情報はあえて捨てない
4. 情報の鮮度を見分ける →更新日時に注意
5. 情報を保存する際にはタグをつける
6. 一次情報か二次情報かを見極める
7. 情報処理はなるべく1回で済ませる
8. データは必ずバックアップする
9. 一度入力した情報を使い回す
10. データベース構築に必要な「四種の神器」(ノートPC、スマートフォン、デジタルカメラ、ICレコーダー)
ここでは、Evernoteのことについては一切書かれていませんが、このポイントを読むとEvernoteがいかに知的生産に適したツールかということはよくわかる。
あとはこの本に書かれていることがらから、いかに自分に適した方法を引っ張り出し、実践するか。いつものことだが、それが重要である。
そしてまだ未読の『知的生産の技術』をそろそろ読まないとなぁ~。
==================================
目次
まえがき 久恒啓一
1.関口和一(日本経済新聞論説委員)――すべての情報をデジタル化する:「自分」
データベースの構築
2.茂木健一郎(脳科学者)――維新へと向かう時代の「知」。志をもって学び、
世界に向けて日本を発信する
3.軽部征夫(東京工科大学学長)――独創人のすすめ:いまこそ「起創力」が必要と
される時代
4.久米信行(久米繊維工業代表取締役)――見る前に跳べ:「現場」で育んだ発送術
と行動力
5.勝間和代(評論家)――すべては1%の本質をつかむために:積み上げてきた私の
スキルとは
6.佐々木俊尚(ITジャーナリスト)――メディア変革期における情報発信とは
7.土井英司(エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役)――本作りという知的生
産の場に生きる
8.蟹瀬誠一(国際ジャーナリスト)――世界の「現場」で鍛えられた発想と行動力
9.久恒啓一(多摩大学経営情報学部教授)――自分の足元を深掘りしていけば必
ず新たな知見が見つかる
あとがき 八木哲郎
==================================
◆茂木健一郎さん
これからの時代は、「独学」「私塾」「脱藩」「フリーランス」がキーワードになるだろうと感じています。
・独学 - 自ら学問を志してきたという意味
・私塾 - 独学者たちが互いに切磋琢磨する場所
・脱藩 - 自分の組織以外の多くの人と出会うこと。精神的にフリーランスになること
◆久米信行さん
現場から学んだ「心構え」
1. 知恵は現場にあり。全身をセンサーにして五感を感じる
2. その道の師を最低十人探して真似る
3. 脳と心を動かすには、むしろ体を動かす
4. 逆境を楽しみ、火事場のバカ知恵を出す
5. 異業種や不得意分野で活躍する場を持つ
6. アウトプット優先、発信してしまいメモリを空にする
7. 公益重視、儲け度外視の事業で知恵を出す
8. 片目で「今の解決策」、片目で「100年後の夢」を見る
9. 若いうちは質より量、感動の種を浴びるように味わおう
10. 気軽なリアルタイム発信で心をストレッチする
◆勝間和代さん
1%の本質を見極める技術
1. フレームワーク力をつける
2. ディープスマート力をつける
3. 失敗力をつける
4. ベストプラクティスを学ぶ
5. 価値を出せないところはばっさり捨てる
6. 本代はケチらず良書を読む
◆佐々木俊尚さん
仕事をする上での必要なコントロールすべきこと
* アテンション(注意力、集中力)
* 情報
・情報をストック(蓄積)とフロー(流れ)に分類する
フロー→ニュースサイトの未読記事や新着メール
ストック→ニュースの中で重要なもの。じっくり読む必要のあるメール
・プッシュとプルを使い分ける →情報に向き合う姿勢
・コンタクトポイントを絞り込む
* 仲間とのコラボレーション(連携、協調)
◆蟹瀬誠一さん
究極の「知的生産」のツール
* 自分の時間と情報を管理する
* 自分の人生をコントロールする
* 新しいものを生み出す
* 閃きを逃さない
* 直観の検索装置
* 仕事を効率化して成功へと導く
* 人脈をより広げる
* 知識をさらに深める
* 自分の夢を実現する
達人に学ぶ「知的生産の技術」
