電話サポートは顧客満足度を高めるためにも必要なこと。という認識がありつつも、お客様の質が落ちていることや、これほど単価が低くなった自社製品に対しても本当にサポートが必要なのかと、電話サポートすることに対して疑問を感じていたので、思わずこの本のタイトルが目に止まり、読んでしまった。
筆者が電話サポートを辞めようとしたキッカケは、電話サポート窓口担当者がうつ状態になってしまったということから。そこから電話サポートの現状をみると、お客様の質の低下や、無意味な問い合わせなどが多いことがわかったという。つまり本当に必要なことが、急を要するお客様からのクレーム対応の時間をとられてしまって、できなくなってしまっているということに筆者は疑問を感じていた。
そこで電話サポートを辞め、その代わり無償試用期間を2ヶ月設けたりして、電話サポートなしでも一定の売上を上げることができたという。
ただ残念ながらこの本に書かれているような内容のことを実践することは、物をつくるメーカーとしては非常に難しく感じた。
インターネットプロパイダだと、新品中古という概念がないので2ヶ月の試用期間が過ぎて解約されても、その空いた回線を他にいくらでも回すことは可能である。しかしパソコン関連製品の場合だと、一度使用されてものは中古品となってしまうので、それを新品と同じ価格で転売するというができない。
その次に、製品そのものがまだまだサポートなしでは使えないということ。パソコン関連は多くの人が使っているが、でもそのパソコンそのものを設定などを十分理解しているのか? といえば全くである。いろいろなハードが出てきて、ソフトが出てきて、いろいろな組み合わせが発生しているために、何かあった時の原因究明が困難なのがパソコンの世界である。
そのため素人でも電話サポートなしで使えるようになるには、もっともっと時間がかかるのはないだろうか。
そんなわけで個人的には全く役に立たない本だが、ただ電話サポートをなくしていくという方向性を示してくれた本として、そしてインターネットプロパイダ事情を知る上でも面白い本であった。
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目次
はじめに
第1章 お客様電話相談室の立ち上げ
第2章 効率化の壁
第3章 うつ病。当分の間、休養を要す
第4章 疑問。~電話サポ-トスタッフは使い捨て?~
第5章 NHK「コールセンター急増の舞台裏」放映
第6章 決断。~新しいお客様サービスへの転換~
第7章 電話サポートの廃止、得たもの、失ったもの
第8章 お客様相談室の効率を一気にアップする
新FAQ(よくある質問)システム
おわりに
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・電話の内容は、かけてくる方によってそれぞれ異なります。が、技術の人間を出せ、責任者を出せとの要求がある場合は、怒りをぶつけて感情を発散することが目的であるかのような罵声の連続が多いのです。結果として、不具合への対応が遅れてしまい、多くのお客様にさらにご迷惑がかかってしまうことが少なくないのです。
・企業が商品やサービスの品質に責任をもつのは当然です。不具合があれば、速やかに情報を公開して、回収や交換、修理をするのも当然の義務です。しかし、少し過激な言い方をすれば、そうだとしても、お客様が電話サポートのスタッフに過剰な罵声を浴びせ、結果としてスタッフの健康を害するようなことを、していいはずはないのです。
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