昨日の朝

私が起きると

いつもノラさんが占領している座椅子に小さな染みがあった。

触ってみると濡れているだけで

臭いはなかったから

粗相した訳ではないので

多分爆睡してヨダレをつけたのだろうと思い

いつも通りに仕事を開始した私。

しかしその後

いつもならブランチを要求するはずのノラさんが

一向に要求してこない上に

座椅子に戻ってきたノラさんの顎が濡れている、と気づいた。

これはもしかしなくても

ずっとヨダレが出てるってことだ。

猫は犬と違い

頻繁にヨダレを垂らすことはない。

勿論

空腹でヨダレが多くなることもあるし

爆睡などでヨダレが出ることもあるから

ヨダレ=病気とは一概に言えないけれど

食べてはいけない物を食べた、とか

口の中に何らかの異常がある、とか

熱中症、脳関係の病気や障害、腎臓や肝臓の病気、ということもありえる。

そう考えた私は

ヨダレ以外の変化がないか

注意深く観察したのだけど

ヨダレと食欲がないこと以外変化がなかったので

とりあえず母が仕事から帰宅する午後4時まで様子見しておくことにした。


帰宅した母にノラさんの様子を伝えると

母は案の定顔をしかめた。

前回私が

ノラさんの耳が聞こえていないようだ、と言って

動物病院へ連れて行った時も

そんな訳ない、と言い張り

結局病院へ行ったものの

ヤブ医者から

耳に外傷はない、

聞こえてるか聞こえてないかは分からない、と言われ

ただただ高い診察料をとられたことを

母は忘れていないのだ。

ちなみにノラさんは

その時から本当に耳が聞こえなくなっていて

今はさすがの母も

ノラさんの耳が聞こえていないことを理解しているけれど

それ以外の異常はないので

母の中では

結果的にあのお金は無駄だった、となっているのだろう。

あからさまに病院へ行くことを渋る母を見て

朝食べたものを夕方には忘れているのに

そういうことは忘れないんだね、と思った。

そんな私の軽蔑に満ちた視線に気づいた母が

病院へ行く、と言ったのは

帰宅して30分以上過ぎた頃。

母は毎回

猫をキャリーに入れる時は

私に丸投げするので

今回も私が一人で

嫌がるノラさんをキャリーにぶち込んで送り出した。


ノラさんの様子だと

正直特に緊急性は感じなかった。

あのヤブ医者がまた

分からない、と言って

高い診察料だけとるのでは、ということの方が心配だった。

そんな私の心配が的中。

診察を終えて帰宅した母は

とりあえず点滴されたけど

何だか分からないと言われた、と

ご立腹の様子。

そしてノラさんは

背中の点滴の痕を皆にチェックされ

キャリーにぶち込んだ私から逃げ
遠くから抗議の視線で私を見続けた。
逃げる元気があるのなら
とりあえずは大丈夫だろう、と
ちょっと安心したのだけど…
母が怒るのは予想していたし
ノラさんが怒るのも理解は出来るけれど
エサもおやつも食べず
ただただヨダレをポタポタと垂らしていたノラさんを心配し
ノラさんの為を思ってやったことなのだから
せめてノラさんだけは
そんな目で見ないで、と言いたかった。

それにしても
ノラさんの耳が聞こえていないことも分からず
保護した当初のちゃちゃの首に
でっかいダニがついているから、と
駆除をお願いした時も
冬にダニに食われる猫はいない、と言い
モコのお腹の寄生虫の時も
私が現物を持って行くまで信じず
当然こつぶの過敏症も診断出来なくて
当初は皮膚病の薬を処方したあの医者は
一体どんな病気なら診断出来るのだろう?と心底思う。
必要以上の検査をして
高額な医療費を強いる悪徳医師もいるとは分かってるけど
毎回
何だか分からない、という答えしか返ってこないのに
それなりの診察料をとるのもどうなんだ?と
不信感は募るばかりなのでありマシタ。