いまの自宅に引越ししていらい、はじめて、図書館というものにいき、カードを作って本を借
りてみた。音楽本の棚にいき、上の段の左から5冊を借りてみた(適当)
その中で一番面白そうなタイトルが、「ドビュッシーとピアノ曲」だった。
著者は、マルグリット・ロンさん。女性。ドビュッシーからたくさんレッスン受
けた方みたい。レッスンのときの会話や、サロンでの会話が、たくさんのってい
た。
一気に読んだわけですが。特に印象的だったのをひとつ。
マルグリットさんが、1917年に、「練習曲」と「喜びの島」のおさらいをドビュッシーとしていたときの会話。
そのときには、ドビュッシーの友人であった詩人トゥーレ夫妻もいらしたらしい。
1917年という年は、この「練習曲」が作られた年でもあり、ドビュッシーの病気がさらに重くなっていった悲劇の年でもあるらしい。
レッスン(指導)を受けて、ピアノをひきっぱなしで疲れていたマルグリットさんに、ドビュッシーがいった言葉。
「こんなにびしびしやろうとするのを許してくださいよ。わかっているだろうが、
私がこの世からいなくなったときに、私の思っていたことを正しく知っているも
のが残ることになるのだからね」
なんといったらいいのだろう。思わずここで涙が出ました。
私は、もちろんそういう偉大な作曲家と比べられない立場だけれど、それでも私
の生んだ子供たち(曲たち)のことを、誰がしっているのだろうと。
私が死んだら、この子供たちを作ったときの想いは、だれにも残っていかないの
だろうかと。悲しくなった。
作ったときの心境や、想いは、そういえば、誰にもいったことなかったなと。
本を読みながら、衝撃をうけた。
いつか、誰かに、この想いを伝えることが出来るのだろうか。
Gayo