「昔みたいにバリバリ働けなくなった」

「仕事一筋で生きてきたから、自分から仕事を取ったら何もなくなる」

「当たり前に出来ていた事が出来なくなるのが怖い」





詳細は伏せますが、こういった雰囲気の相談を頂きました。



現役で活躍されている方なのですが、どうやら仕事が忙しく体調不良で夜もあまり寝付けないのだとか。


お医者さんに診察してもらったらしいのですが、ストレスかもしれないと言われてしまったとのことでした。


マッサージで血行を良くした後に軽くカウンセリングをさせて頂きました。


こういう場合、私の役割はストレスの解消方法を教える…のではなく、なぜ不安に思うのか根本的な部分に注目して本人の中にある答えを表面化させることなんですよね。


お薬やマッサージはあくまで事後ですから、根本的なストレスのもとをどうにかしない限り解決には至りません。


とはいえ、その人の人生とも言える悩みなので、そう簡単にどうにか出来る問題でもありません。



「治さなきゃ」

「迷惑がかかる」

「こんな話人に出来ない」



責任ある立場になって、職場の自分より若い後輩に相談なんて情けなくて出来ない。


ご本人は「自分はプライドが高いから」と仰っていましたが、誰だって自分の弱い部分を人に知られるのは怖いものです。


ましてや伸び代のある若い世代に追い抜かされるのは、今までバリバリ働いてきた人にとっては恐怖も湧いてくるというもの。


ただ、年代のせい、プライドのせい…とお話を聞いていましたが、私はどちらかというと彼が自分で自分の首を絞めているような印象を受けました。




  自分を認めてあげること



後輩は敵ではありません。


会社によっては成績を競う仲であるかもしれませんが、それでも身内の範囲です。


一人で戦ってきた…という自負の念が、マイナスの方向に考えを寄せてしまっているのではないかと。



「貴方が頑張ってきた証拠なんですよ」

「貴方の技術を受け継ぐ人なんですよ」



つまり、追いつかれる不安や恐怖というよりは、育てた人材が自分に追いついてしまう、なのに自分は衰えていくばかり…巣立ちを喜びながらも離れてしまうことに対する親の寂しさのようなものを抱えているのではないか、と思いました。


もしかしたら、個人的に褒められる機会が少なかったのかもしれません。


だから頑張っても頑張っても足りないと思ってしまったのかもしれません。


まだまだ気持ちは頑張りたいのに、体が言うことをきいてくれないもどかしさ。


仕事では細かいミスをしてしまうし、遊ぼうにも体が疲れているから動くのも億劫。


仕事に打ち込む余裕がない。


お医者さんに診てもらっても病気ではない。


分かりやすく言うと、今まで弱音を吐かずに頑張った結果、心が疲弊しそれが表面に出てきたのです。


心は目に見えない分、とても繊細です。


傷付いていないように見えても細かなかすり傷がいくつかついています。


その傷を自覚してもらって、話を聞くことによって自己治癒力を高めてもらうという具合でしょうか。





この時大切なのは、あくまで「本人の中にある答え」を導くこと。


仕事の悩みや喜びや人生の苦しみ、痛み悲しみが分かるのは、それらを経験した本人以外にありません。


ですから、いくら私が「答えはこれですよ」と言ったところで「お前に私の何が分かる」になってしまうのです。


本人の痛みは本人だけのものです。


ただ、理解して受け入れることは出来なくても、話を聴いて寄り添うことは出来ます。


欲しいのは答えではありません。


心のもやもやを吐き出して整理したい。


ぐちゃぐちゃの頭の中をすっきりさせたい。


大なり小なり、苦しんでいる本人にとっては辛いことです。








私の場合、昔から人の話を聞くのは好きで苦ではないので、男性には今までの分めいっぱいお話ししてすっきりして頂きました。


吐き出せる場所として、「疲れたからちょっと休むか」という心の休息所になれたら嬉しいですね。




適度に休むことも大事