火曜日に社長がやって来る



そんな
お知らせがあり
社内がピリピリするバイキンくん


掃除をしろ!!

いい子にしろ!!

挨拶は大きな声で!!


上司がはりきってて
うざい凝視


前日から用意周到に
準備に終われる
どうせなら抜き打ちにすればいいのに


社長の顔は前回
キッチリと覚えた



だが



忘れた~ゲロー
物覚え悪いBBA

あんなに前で見たのになぁ…


やべぇ、やべぇ
いつ来るんだろと思ってたら


上司となんかしゃべってる
おっさん発見真顔
もう来てんじゃんっびっくり

他におっさん2人…そして

あんときの

キャリ子いるじゃん


あいつ何者?

社長と来るぐらい偉いん!?
うそぉーん
あほみたいに料理してた
あいつが…

あいつのせいで
めちゃくちゃ怒られたのに…
恨んでいる


バリバリ笑顔で喋ってるやん

キャリ子は何者なの?
お偉いさんたちと談笑とは…

まさか……真顔


愛人?
ドラマ見すぎww

綺麗な顔立ちのキャリ子
服装も小綺麗で
スタイルもいい

今日もバッチリ
ヒール履いてますやんハイヒール
こないだ盛り付け皿なってたけどニヤニヤ


とりあえず
どれが社長かわからん


たぶん
とっちゃん坊やみたいな
真ん中の人…?なのか!?


触らぬ神に祟りなし


ここは得意技の
気配を消すDASH!どろんDASH!



もうこれに限ります



そんな中


がちゃがちゃ
がっしゃーん雷雷


今月入った新人さん
派手にやらかしちまった


彼女、なかなかのドジっ子


仕事の覚えも悪く
あまり積極的ではない


そして
めっちゃ声が小さい


声の小ささを上司に指摘されても
自分の声は低音だから
声が通らないんだとお悩み中
たぶん違うと思うよ



棚から見事に
商品をひっくり返したようだ
やっちまったか滝汗


にんまり出てくるのが
舌打ち先輩とほいほい先輩


この2人にかかれば


ろくなことない



「あ、割れてるぅ~」


「こっちのも取れてるんじゃない?」


大きな声で騒ぐ2人


すぐ言いつけるやつ…
黙っておけばいいものを…


上司に怒られ
凹みまくりのドジっ子



トイレに行ったかと思うと
しばらく出てこない


大丈夫かな?



心配してたら
20分後くらいに帰ってきた


ただ


みんなが『えっ?』て
彼女に注目する



なぜなら




左乳だけ




巨乳なってたから…



え、どういうこと?
目じゃなく片乳が腫れる??



どういう状況?


そんなことある?



みんなそこから目が離せない


いやいやいや
ドジっ子自身
まず気にならんの?
あきらかにバランスおかしいやん



そしてその日
ドジっ子は会社を辞めた



たまたま子供の学校行事で
早上がりした私


ロッカーで着替えてる彼女と
同じになった



「お疲れさま~ピンクハート


いつも通り声をかけた


彼女が

「会社辞めることにしました」

報告してくれる


知ってたけど
そうなんだって知らないふりしといた


そこからは
普通に
会社の近くにパン屋さんできたねとか
世間話をしながら
着替えてたら


彼女が制服の上に着てた
セーターを脱いで


ブラウスの左胸ポケットから
彼女のいつも使ってる
メモ帳を抜き取った


舌打っちーが
「あれはDEATH NOTEや」と
意地悪言うてたやつ



胸の膨らみは
メモ帳だったのね


「メモ帳そんなとこいれてたん?」

私の問いに

「トイレで顔を洗ってたら、水の中に落としてしまって、インクも滲んで読めなくなったんです…」


なるほどなるほど


「いやいや、急に片方だけ巨乳なるやんて思ったわニヤニヤ


その言葉に彼女が爆笑する


いつもの倍ぐらいに
膨れ上がったメモ帳を
改めて眺めては
2人で笑ってしまう




「せっかく仕事をメモってたのに、字が読めなくなって、これ見たらもう仕事も覚えれないし、辞めようて決意したんです」


そやな
それ見たらもうええわって
なるよな


たくさんメモってたのだろう
見事に字がただの模様になってる


「あはは、めっちゃおもろいやん」


2人で大爆笑する


彼女が
笑ってくれてて良かった~ニコニコ


最後が悲しいお別れじゃなくて
良かった


ドジっ子が


「このメモ帳ごみ箱に捨てたら
まずいですかね?」



ていうから
メモ帳の表紙だけビリって破って



表紙に
『デスノートハートbyにこにこ』て
大きく書いてあげた



わかりやすく
舌打っちーのロッカー前に
貼っておいてあげる



ドジっ子が爆笑する

「そうなんですよ。私を見ながらいつもコソコソ話してて嫌いだったんです。あの人、舌打ちしません?」


するさー
めちゃめちゃするさー


「たぶん、そのうち飛び立つと思うよ」


私の言葉に
クスクス笑うドジっ子



あとは
ぶよぶよなってても
このメモ帳がドジっ子のものって
知らない唯一の今日のお客さん


キャリ子の
置きっぱなしの鞄
(キャリ子の個人ロッカーがないので
いつも置きっぱなしにされている)


左ポッケの奥深くに
プレゼントしてあげたラブ
いつ気づくやろニヤニヤ飛び出すハート


パートさんの頑張りを
ちゃんと見ときなさいニヒヒ


ドジっ子が「スッキリしました爆笑」て
ケタケタ笑う


一緒に外に出て


喋りながら振り返ったドジっ子を
ふと見上げたら


職場の温度と外気温の
温度差のせいか
はたまた彼女の体温が高いのか


一瞬で
彼女のメガネが両方曇ってるメガネ
そんなんなる?



こういうの
男の人は守ってあげたいとか
なるんかな?



などと思いながら


ドジっ子の今後の健闘を祈りますデレデレ