『新編世界むかし話集 6 ソ連・西スラブ編』 | 手当たり次第の本棚

『新編世界むかし話集 6 ソ連・西スラブ編』

ソ連という名称に凄い古さを感じさせるわけだが、まあ、要するにロシアなわけで、グリム兄弟なくとも、ロシアには民話を集め、立派な仕事をした学者が何人もおり、その結果、民話の宝庫みたいなことになっている。
(もっとも、よくよく考えれば、民のいるところ民話はあるのであって、それをどれくらいたくさんあつめた人がいるかによって、宝庫かどうか呼び名が変わるように思う)。
とはいえ、味わい深かったり、美しかったりする民話は数多いのは、大地の広さもあいまって、事実なのかもしれない。

ここには、ロシア民話として有名なものもおさめられているが、神による応報の物語でありながら、不思議な美しさのある、『神の水車はゆっくりとめぐる』が私の気に入りの1編。

さて、ロシアと西スラブが文化的に近縁関係にあるとするならば、三人姉妹のうち、末娘が男(兵士)になって父親のかわりに出征するという物語が複数入っているのは興味深い。
思えば、失われた夫を捜すために男装して旅に出る女の物語が、中近東にはいくつかあり、これと似て非なるというか、違うようでいて似た味わいだと思うのだが、コーカサスなどを通じてふたつの文化圏の間に交流もあったかと思うと、もしや互いに影響し合った物語なのかもしれない。

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ロシア

火の鳥
カマスの命令
山姥ババ・ヤガー
兵隊になった娘
あかだらけの男
シラミの皮でつくった上靴
うそつきの百姓
兵隊さんと魔女
親指小僧
母親と死んだ息子
やさしい子供たち
強情っぱりのおかみさん
ハエのお城
金持ちマルコ
将軍と賢い百姓
魔法のボダイジュ
神の水車はゆっくりとめぐる

トルキスタン・シベリア

スイカの種
底抜けに気前のいい男
いたzぅら者のナスルッディン
大ガラスとネズミの一家
魔法くらべ
木挽きの三人の娘
木彫りの女
メジカの夢

コーカサス・アルメニア

処女王
漁師の息子
アレグナサン-男になった娘
ロバとラクダ
お百姓と下男
なまけ者
オオカミとキツねとラクダ

ポーランド

ヘビの王さまの冠
オンドリと風
継母のねたみ
風にのる人
魔法のつぼ
月へ行った聖ゲオルグ
ノミとハエ
バルト海の女王

チェコ

十二の月
塩は黄金よりも尊し
飲んべえと死人の骨
鉱山の王さま
悪魔とケーテ
智恵と運
山の賢い娘
貧乏神について
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新編世界むかし話集〈6〉ソ連・西スラブ編 (1977年) (現代教養文庫)/著者不明
1977年2月28日初版