『Dー悪夢村』〈吸血鬼ハンター22〉 | 手当たり次第の本棚

『Dー悪夢村』〈吸血鬼ハンター22〉


久しぶりのDなのだ。
一応このシリーズ、順を追って物語が進められてはいるものの、基本的には、1巻1話完結式のものと思っていいだろう。
今回は、かうて神祖が、貴族と人間と外宇宙生命体(OSB)に関する研究施設があったというある村が舞台となる。要するに、ここで、3種類の生命を混合することで、新種のなにか凄いものを作りだそう、というものなわけだ。

このなかの、神祖にまつわる部分が、シリーズを通しての縦糸であり、今回も、神祖は本当に死んでいるのかどうか、という疑問が提示される。
何しろ相手は不死者なのだから、生きていると言われれば、否定はできないわけだよな。
塵になったという証拠がない限り。

さて、この新種の生命体は、製作過程のものが、まず、施設内に二体存在し、そこにおびきよせられた旅人の一行が、実験体として利用されそうになる。
早い話が改造だけど、改造だけに、ふつうの吸血鬼なら「それは詐欺だろー!」と言いたくなるような厚かましい特徴を持っている(というか、欠いている)のだ。

しかもこの施設を支配するのは、神祖ほどではなくとも、伝説にうたわれるふたりの吸血鬼だ。
(これまた、不死者なのだから、あり得ない事でもない)。
マッドサイエンティストの美女と、
もの凄い武人(もちろん、美形)の二人組だ。
武人の方とは、共闘する部分もあるのが、かなり美味しい。


吸血鬼ハンター22 D-悪夢村 (朝日文庫ソノラマセレクション)/菊地 秀行
2010年9月30日初版(発売中)