『韓国は不思議な隣人』 | 手当たり次第の本棚

『韓国は不思議な隣人』


韓国は、不思議な国だ。
もうちょっと、非好意的に言ってしまうと、理解しがたい。

うん、なんでいきなり、非好意的などと言ってしまうかといえば、こういう事だ。
もともと、「教科書問題」が騒がれるようになるまで、私は韓国にさほど興味がなかった。
う~ん、さほどというか……全然。
だから、教科書問題って、寝耳に水だったんだよな。

は?
何いってんの?
なんで他国の教科書に口を出すんだ?
残念ながら、侵略したされたという話は、世界中どこにでもあるわけで、それについて自分以外の当事者国が教科書でどのように書いているかなど、外交の場で持ち出したなんて話は聞いた事がなかった。
ついでに言うなら、歴史なんて国がある程度口を出すメディアなら、たいてい、その時の権力者につごうのいいように書かれるものだ。
学問的にはそれじゃ困るんだけどね、確かに。

つまりね、
まったく興味がなく、となりに韓国という国があるみたいだな~くらいの感覚でいたところに、いきなり、強烈な言いがかりをつけられた、というのが当初の印象なのだ。

そして、その後、残念ながら、「韓国のいいところ」という情報に比べて、「いやなところ」だという情報の方が、はるかに大量に入ってきた。

韓国では、そういうことに気づいているのだろうか。
常識的に考えて、今まであたらずさわらずだった相手に、いきなり強烈にクレームをつけ続け、感情的にヒステリックにかかっていって、仲良くできると思うだろうか?
単に仲が悪くなる、「てめえとなんか挨拶したくねーよ!」で終わるならまだいい。
日々けんか腰で接していたら、そのうち自分が痛い目にあう事も、あるかもしれない。
……そんな風には考えないのだろうか?

そこまでいかなくても、感情的な態度では、まともな話し合いはできないよな。

それを外交で執拗にやる韓国とは、どういう国なのか。

勿論、それを知るためには、韓国がどういうところで、一般の韓国人はどんな風に暮らしているのかを知らなくてはわからない。

もちろん、料理や映像作品といった文化的な一面からアプローチするのもいい。
日韓が登場する近代史について調べてみるのもいい。
なんなら、領土問題とか、最近の政治について学ぶのもいいだろう。

だが、残念なことに、それだけでは、「なぜ韓国人がそんなことしてるのか?」についての答は、なかなか得る事ができないのだ。

そこで、このような、韓国評論が登場するが、もちろんその手の本も、スタンスはいろいろあって、選ぶのが難しい。

その点、本書の著者は70年代からずっと、産経新聞ソウル支局員として彼の地に滞在する韓国通であり、「嫌韓」でもなければ「媚韓」でもない。
時に、かの地の不条理に皮肉っぽい視線も投げながら、鍛えられた目で、「不思議な韓国」についての疑問を、解き明かしてくれるのだ。

たとえば、なぜ韓国はこうも執拗に反日を叫び続けるのか。
なぜ、今、竹島(韓国では、独島-ドクト と故障する)なのか。
反米、親北朝鮮、親中国の裏にあるのは何なのか。

出版年こそすでに4年前、掲載されている文章が最初に発表されたのはさらにその数年前のものとなるが、韓国という国の根本を知るという意味では、決して古くないと思う。
文章も読みやすく、冷静なので、無用に感情面を刺激される事もない。

「あの国はまったくみおー、なぜ?」
と感じた事のある人には、お奨め。


韓国は不思議な隣人/黒田 勝弘
2005年7月30日初版