『鋼の錬金術師 (18) 』 | 手当たり次第の本棚

『鋼の錬金術師 (18) 』

遅々として進まぬように見えながら、物語はじわじわと展開している。
今回は、そんなイメージだろうか。
まず、今回の注目点は、少し前からちほら登場する率が高まっていた、ブラッドレイの息子(養子)に関してだ。

なにせブラッドレイの正体が正体なのだから、誰もが、奥さんの親戚から養子にもらったのかと思うところだが、なんとそれが……、という筋立てに。
マスタング大佐の、散り散りにされた部下のうち、ひとり大総統付きとなったホークアイ中尉の運命やいかに!
そしてこうなると、いかにも人の良さそうなブラッドレイ夫人にも「何かあるのか」と疑惑の目を向けたくなるところ(どうなんだろう?)

ブリッグス山では、紅蓮の錬金術師と鋼の錬金術師と傷の男と氷の女将軍と……
三つ巴四つ巴どころか、どこがどう手を握り、どこがどう裏切りをはたらいているのか、混沌とした状態に。
ウィンリイの心境も状況の変転に応じて変わっていき、ああ、ロックベル家の血筋ここにありというような、凛々しいハンサムウーマンに育っていく(いいねえ)。
また、凄まじい吹雪のなか、ひとり雪山を行くはめになったアルは、極限状態のなか、自分の本来の肉体らしきものをかいま見る。
はたしてアルは、自分の体をほんとに取り戻せるのか?
だとしたら、いつ。

現在、局面が多方面にわたっているため、ほんとに、展開がじわじわレベルなんだねえ。
単行本でこうなんだから、連載で読んでたら、もっとじりじりするのだろうなあ。

ところで、今回の特装版(表紙は同じ、但しタイトルが金文字)、カルタつき。
そうか、去年がトランプで今年がカルタなら、来年はきっと花札だな……!
(意表をついてタロットか、百人一首だったら笑う)。
カルタの内容は、おおむねギャグでシリアスもまじっているのだが、うーん、ちょっと微妙か。
ギャグならギャグに徹した方がこういうものはいいと思うんだがなあ。


鋼の錬金術師 18 (ガンガンコミックス)/荒川 弘
2008年1月22日初版(発売中)