『薔薇の名前』 文庫化してくれっ
ハードカヴァーの難点は、3つある。
まず第一に、収納に困ること。本をため込むタチの者にとって、これは重大な問題なのだ(笑)。占有するスペースも、重量も、ハードカヴァーは、ばかにならない。
第二に、携帯性が悪いこと。通勤通学移動中、これらの「利用可能時間」に、ポケットやカバンから、サッと取り出して読む。ハードカヴァーだと、この芸当は不可能だ。ましてやラッシュアワーの電車などでは、広げる事もままならない。
そして最後に、単価が高い。ダイレクトに、財布に響くのだ(笑)。
だから、ハードカヴァーを買うというのは、よほどの事なんだよな。
優先順位が高いのは、当然、図版や写真を見たりする必要があるものだ。
早い話が、専門書だね。
文芸書は、なるべく、文庫化されるまで、待つようにしている。
別に文芸書は、でかい紙面である必要がない。
むしろ、持ち歩いて何度も再読するために、軽便な大きさの方が望ましいだろ。
読む速度も当然専門書などよりずっと速いので、コストパフォーマンスの問題もあるわけで。
(ここらへんが、冒頭にあげた三つの条件にみごとにあてはまってくるわけ)。
幸い、私が待っている本のほとんどは、比較的たやすく、文庫化されるものなのだが、これだけは違う。
『薔薇の名前』。
新刊で出た時から、ほしくてほしくてしようがなかったのだ(笑)。
でも、今まで読んだ事のない作家だし、ハードカヴァーで買うのは、ためらわれる。
中世。
修道院。
図書館。
そしてミステリ。
興味を刺激する4つのキーワードがそろっているのだけれど……。
しかも、どういうわけか、いまだ古本屋で見た事がなく、近隣の図書館にもないのだ(笑)。
単なるタイミングや、巡り合わせの問題かもしれないが、いつまでも「高嶺の花」でいられると、よけいに、
読みたくもあり。
いまさらハードカヴァーで買おうとも思わず。
創元のことだから、いずれは、と待っているのだが(笑)。
そろそろ、文庫化してくれないものですかねえ(‥
著者: ウンベルト エーコ, 河島 英昭, ウンベルト エーコ
タイトル: 薔薇の名前〈下〉