『図説 江戸時代食生活事典』 | 手当たり次第の本棚

『図説 江戸時代食生活事典』

江戸時代は、食文化が、「ぱっ」と華麗に花開いた時代なんだそうだ。
今、我々が楽しんでいる「日本食」のほとんどは、江戸時代に創案されたり、広まったりしたものが、多い。
それどころか、居酒屋とか、屋台で食うものとか、お総菜の販売とか、そういうものも、江戸時代に基礎が作られたのだ。
すごいぞ江戸時代!

そんな江戸時代、どんなモノが食べられ、どこで何が作られ、どんな風に伝えられ、
いや、そればかりじゃないぞ。
どんな風に楽しまれたか!

そこまでぜんぶ、解説しちゃいましょう、という豪儀な本が、これ(笑)。

「浅草海苔」なんていう項目があるかと思えば、
「飲食店」なんてのもあり、あるいは、
「行事食」や「誕生の食事」、そして
「魚市場」とか「行楽地」とか
「配膳」なんていうのも見える。

もちろん、江戸時代の著作を読んだり、あるいは上演される歌舞伎や文楽を見たりしながら、
「あれ? これはなんだ?」
と思ったものを調べてみるのが、本来の使い方だろう。
事典だもの。

でも、最初からずらずらと、読んでいくのが面白いのだ。
蕎麦やそうめんの由来とか、江戸時代にどんなお菓子が登場してきたのかとかね。
まんじゅうが一般的になったのも、江戸時代のことらしいし。

ほんと、江戸時代は面白いです。
でも、逆に考えると。
江戸時代以前には、なかった食べ物が、すごーく多いのだ!

SFファンは、つい、余計な事を最後に考える。
「……江戸時代より手前にタイムスリップしたくねえ」


著者: 日本風俗史学会
タイトル: 図説 江戸時代食生活事典