『宇宙戦艦ヤマト』 それは原点である | 手当たり次第の本棚

『宇宙戦艦ヤマト』 それは原点である



著者: スタジオハード
タイトル: 宇宙戦艦ヤマト画報―ロマン宇宙戦記二十五年の歩み


CS放送の「ファミリー劇場」をつけていて、ふと、『宇宙戦艦ヤマト』が放映されてるのを見た。最初のテレビシリーズで、ヤマトはちょうど、冥王星の海に沈んだところだった。

ふぅ……。
ヤマトのツッコミどころというのは、山ほどある。
でも、どれほどたくさんツッコミどころがあっても、やはり偉大な作品である事にかわりはないだろう。

たとえば、アニメブームの火付け役になったのが、ヤマト。
ガンダムじゃなくて、ヤマトなんだよね。
アニメージュ創刊号の表紙は、黒地に銀でヤマトが描かれているという、すげーインパクトの強い、目立つものだった!

原作はもちろん松本零士だけれど、他の漫画家(たとえば、ひおあきら)もヤマトを漫画化した。

ノヴェライズも、数種類あるのだ。
原案に関わった石津嵐のもの、シナリオから起こしたらしい(推測)、若桜木バージョン。まだあったかも。

アニメのサントラというものがヒットしたのも、ヤマトから。そもそも、フルオーケストラでアニメのサントラをやったというのも、ヤマトが初だったんじゃなかったかな。
そういえば、ヤマトの(たぶん)全シリーズのサントラがCDで復刻、らしい。テレビ通販でちらっと見たけど、けっこうな値段だったような気がする。

映画(最初のやつね)公開当時は、ほぼ同時期に公開の『スター・ウォーズ』と動員数を争った。アニメ映画のために映画館前で徹夜というのも、ヤマトを嚆矢とする。

シド・ミードにデザインを依頼した日本のアニメも、ヤマト(但し、シリーズのあとの方)が最初だよね。

そして未だに、何種類ものゲームソフトが出てたりとか、根強いファンがいるわけですが。

なんのかんのいっても、そもそも軍艦としてファンの多い、戦艦大和が!
悲運の巨大戦艦で、沖縄への片道航行に出て、海に沈んだあの大和が!
人類を救うために、宇宙に飛び立つ。
兵器のファンも多数含むところのSFファンの心をがっちりとつかんだのは、まさしく、これがポイントなわけだ。
(ある意味、大和というものを作り上げた日本人の、執念による月桂冠てな感じで、そういう意味では、架空戦記の原点でもあるのかも)。

さて、そんなヤマトの、数あるノヴェライズの中で、やはり白眉といえるのは石津嵐が手がけたものだろう。
(ちなみに、これって、少年向けライトノベルの老舗、ソノラマ文庫の記念すべき1冊目なのだ!)

石津嵐は、あえて、映画とも、テレビシリーズとも違う形でこのノヴェライズを行ったという。原案に関係した人だからこそ、できる事だね。
子供向け「てれびまんが」(当時はまだ、アニメとは呼んでいない)ではなし得なかった、
「もしかしたら、ほんとはこうだったかもしれない」
ヤマトのストーリーが、そこにある。
今読むと、SF的なギミックなどは、かなりレトロに感じるところもあると思うし、石津嵐特有の、浪花節的愁嘆場が入っていたりもするのだけど、ラストは、テレビシリーズと映画に比べて、ちと唸らされるものがあるのだ。

大団円のハッピーエンドには、なっていません( ‥)/
でも、非常に納得がいくものになっていると言える。
ヤマトってけっこう奥が深いよなあ、と感じてしまうかもしれない。
ジュヴナイルSFとしても、なかなか読ませる作品だと思う。



著者: 石津 嵐
タイトル: 宇宙戦艦ヤマト