『魔界の神殿』 真実の剣第4部完結
今、ハヤカワ文庫FTが力を入れてる2シリーズのうちのひとつ。〈真実の剣〉。これも、〈時の車輪〉同様、原書の1冊を5冊くらいにわけて、出しているようだ。しかも月刊じゃなくて隔月刊なので、毎度、
「続きはやくー」
になってしまうのだが……(笑)。
比べると、〈時の車輪〉のように豪華絢爛ではないけれども、伏線を思わせぶりに張って、引っぱるのがうまい作家だなあ、と思う。(その点、〈時の車輪〉の方がある意味単純と言える)。で、今回は完結編であるから、この第4部で問題になった事が、いろいろと解決されるわけで、おまけに、最後の最後まで、二転三転するというめまぐるしさ。今回は、
○ リチャード視点
○ カーラン視点
○ ゼッド視点
○ ヴァーナ視点
この4つというか、4人のキャラ中心にそれぞれのイベントが展開してるため、たたみかけるように場面が切り替わること、ほんと、めまぐるしいという他はない。ここらへんが、ジェットコースター効果ってやつで、どんどん先を読ませてしまう構造になってるんだと思う。
それにつけても、この作者は、登場人物をいじめるのが好きだよなあ。もちろん、物語の登場人物、特に主人公ってやつは、苦労するからこそ物語になるわけなんだけど、そういう事を割り引いても、この物語では、登場人物みんなが、ヒドイめに遭い続けるのだ(笑)。キャラも惜しげなく、殺しちゃうしね。もっとも、それが、おざなりじゃなくて、ちゃんとストーリー上死ぬべくして死んでるというのは、お見事。
それでも、リチャードもカーランもヴァーナも、〈その他のキャラも)、しっかり苦難に耐え抜いている姿勢は、読んでいて元気になるような感じがする。落ち込んだりヤケになったりする事はあるけれども、ちゃんと、そこから浮上してくれるのだ。これもまた、ある意味、希有な事じゃないかな。
そう考えると、彼らは、雑草のごとく強く生き抜く人々と言える。
実にたくましいです( ‥)/
また、それだけ苦難が大きいからこそ、最後のみごとなハッピーエンド(一応ね)が際だって見えるんだろうな。単純な構図だけれども、そこまでの展開の速さに、結局乗せられてしまう感じ。今回のラストは、特に、待ちに待ったイベントが控えているので、読んでいてハッピーになれてしまう。
夢中になれるファンタジイのシリーズを読むという事なら、損はしないと思う。
『魔界の神殿 5 奇跡の呪文』〈真実の剣〉シリーズ (テリー・グッドカインド作 ハヤカワ文庫FT)
著者: テリー・グッドカインド, 佐田 千織
タイトル: 魔界の神殿2・赤い月・
著者: テリー・グッドカインド, 佐田 千織
タイトル: 魔界の神殿3 ―死せる子どもたち―
著者: テリー・グッドカインド, 佐田 千織
タイトル: 魔界の神殿4 -風を探して―
著者: テリー・グッドカインド, 佐田 千織
タイトル: 魔界の神殿5・奇跡の呪文・