「私歴史の授業って嫌い」

沈黙を破った言葉は、それは意外なものであった。

「ほんと、なんか哀しいよね」

「何が?」

君は机に両肘をつきながら、いかにもだるそうに教科書を眺める。

「だってさ、うちらまだ20年も生きてないんだよ?でもすごく長く感じるじゃない。思い返せばたくさんのことが頭に浮かぶ。言葉に表せないくらい…なのに、なのに、授業じゃ200年がたった1時間で終わっちゃうんだから。そんなの、その頃に生きた人にとってはたまったもんじゃないわよ」

風でめくられるページに、そう言って君は虚ろな目を向ける。

「歴史を学んでも、結局一緒なのよ。歴史は、繰り返される。」


「私は、今が大事なの」


そう言い放った君は、今まで見たどの君よりも力強く、美しかった。


もしかしたら、その瞬間がすべての始まりだったのかもしれない。

君の言葉は多くを動かす。

僕も、その動かされたものの1つだったのだ。

嘘をつきたいと思った。

何の為でもなし、それで自分が得をするわけでもなし。

たとえそれで地球が終わろうが知ったことではない。

ただ、頭に浮かんだ、最上で最恐の、それでもって至極当然の欲求だ。

それは善悪に2分できるような生温いものではない。

そう、例えば、心に澱みが生じる前の、純粋無垢な少年少女。

測定不可能。

そこに物差しは存在しないのだから。


何が起こるかわからない。

何を起こすかわからない。

確かなのは世界が揺れる。

僕はそれを傍観するだけ。


これこそがすべてを卓越した最強で最弱の存在。


願わくば、純粋な最強でありたい。


生年十八。

僕は最強になるために。

最弱を捨て去るために。


60億人余すことなくすべての人に捧げる、

史上最大の挑戦状となることを願って…

いくつ光を越えて

いくら前に走っても

たどり着けない

景色はずっと遠いばかり

どれほど時を過ごし

何度手を伸ばしても

握った手のひらに

収まるものは何もなかった



走ったつもりでも

足は空を切るばかり

進むということを忘れてしまっていた

地面を踏みしめ蹴ったならば

必ずそこには生きた証



終わりなき道

それは悲劇ではない

何かをこの手に

確かにつかみながら進むのであれば

手を伸ばすことをあきらめてはいけない

つかみにかかるそれが人生なんだ


終わりなき道