「私歴史の授業って嫌い」
沈黙を破った言葉は、それは意外なものであった。
「ほんと、なんか哀しいよね」
「何が?」
君は机に両肘をつきながら、いかにもだるそうに教科書を眺める。
「だってさ、うちらまだ20年も生きてないんだよ?でもすごく長く感じるじゃない。思い返せばたくさんのことが頭に浮かぶ。言葉に表せないくらい…なのに、なのに、授業じゃ200年がたった1時間で終わっちゃうんだから。そんなの、その頃に生きた人にとってはたまったもんじゃないわよ」
風でめくられるページに、そう言って君は虚ろな目を向ける。
「歴史を学んでも、結局一緒なのよ。歴史は、繰り返される。」
「私は、今が大事なの」
そう言い放った君は、今まで見たどの君よりも力強く、美しかった。
もしかしたら、その瞬間がすべての始まりだったのかもしれない。
君の言葉は多くを動かす。
僕も、その動かされたものの1つだったのだ。