父と母が結婚式をあげました。

父「婚姻届は俺が仕事に行く時に出しておくよ」


父は自営業でした。

度々、出張に出る事が多かったけれど

母はとても幸せでした。

父が母の事を「お前は可愛いな」と言って

髪を撫でてくれたそうです。


そして私の命が母に宿りました。

母は喜んで父に伝えました。

十月十日が過ぎ、私が生まれました。

母が区役所に出生届を出すと

「非嫡出子」=父無し子となりました。


母には理解できませんでした。

父には他に家庭が有ったのです。

妻子持ちの父が母と結婚式をあげたのです。

出張と言って本妻さんの所へ行き

本妻さんにも出張と言って私の母と過ごす

そう、二重生活を送っていた…

父は母が妊娠したのを聞いた時

何を思ったのでしょうか?

私は生まれてきて良かったのでしょうか?

母は私を愛してくれました。

だから生まれてきても良かったのだと…


父は本妻さんと離婚し

私の母と正式に籍を入れました。