マキの家は家族3人でアパートに住んでいる。

3DKのアパートである。

3つのへやの内1つは衣装タンスが占めていて使える部屋は

実質2つ。そこに家族3人で生活しているのだ。

 

ところで大学生活も遊んでばっかいるわけではなく、学校には

試験というものがある。

マキも僕も例外でなく同じ時期に前期試験と後期試験がある。

そして今は前期試験の真っ只中。

季節は夏。

この地方の夏は死にそうなくらい蒸し暑い。

当然クーラー様の出番なのだが、マキの家にはクーラーが一台

しかない。それも机のおいてある部屋には無い!

 

ということで当然のように、マキは毎日僕の部屋で勉強するのであった。

 

「テレビうるさい!」

「マンガ読むな!」

「タバコすうな!」


これまた当然のように文句を言うマキ。

 

・・・僕の家なんですけど。

 

こんな時はさわらぬ神にたたりなし。

 

上にある友人の部屋に逃げ込む僕であった。

 

・・・テストが終わるまであと1週間。

マキよ頑張っておくれ。そうしないと家でくつろげません(。>0<。)

 

そして同じ時期に試験の俺・・・・ヤバイ勉強してないじゃん!


夜中マキを自宅に送ったあと密かに頑張る僕であった。

マキはまだまだ18歳。

 

この年頃の女の子が彼氏にしてもらいたい事・・・

それは車でお迎え!

土曜日ともなると校門付近はそんな彼女待ち渋滞となる事も

しばしば。でも明らかに優越感を顔に浮かべたいんだろうね。

 

まぁ僕もご多分にもれず毎日のように迎えに行っていたわけで

あった。

 

不思議なものでなかなか出てこない彼女をまっていると、同じ

境遇の彼氏達は次第にお友達になっていくものである。

僕にもそうした待ち仲間が5人ほど出来た。

まぁそんな類友みたい感じだから、よくお互いの彼女の愚痴で

もりあがる!それぞれの彼女が出てくると、今度はお互いの彼女

の品評会となる。

 

まぁ彼女達は彼女達でお互い彼氏の車の自慢大会みたいな感じ

だからお互いさまだよね。


ちなみにマキは僕の車があまり好きじゃないらしい。

マニュアルなところ。

エアロをつけているところ。

アルミホイールが赤で派手なところ。

 

でも許しておくれ!

大学生のおいらにはお前の優越感を満たす車はそうホイホイと買って

あげれないのだよ。

 

そうして今日もブーブー言われながら、マキを迎えに行くのであった。

自分の家の台所で彼女がごはんをつくっている。


う~ん、いいもんだ!!

 

料理のウデに一抹の不安はあるものの、彼女が手料理を

つくってくれるというのはやっぱりうれしい。

 

つくってる最中は覗いちゃダメ!

 

とは言われたが、ダメと言われたらしたくなるのが人間のサガ。

覗いてみました・・・

 

「鶴の恩返し」でも覗かなきゃうまくいったはず。

この世の中、知らなきゃ知らないままの方がいいことも多いん

です・・・

台所のマキは悪戦苦闘中。

カレーを作ってるはずなのにどう見てもカレースープ。

どうやら分量ミスらしい。

そして、そのミスをカバーする為にどこで覚えてきたのやら、

今度は小麦粉を投入しだした。


・・・何だかやばそうな予感。いや現実。


・・・あれは食えるのか!?

・・・見なきゃよかった。

 

そうこうして、どうやらカレー(もどき?)が完成した。

 

「味見した?」

そう問いかける僕に平然とマキは言った。

「味見?するわけないじゃん。カレーだよ?失敗する人

 いないよ!」

僕が見たのは幻だったのだろうか?

いや、違う。マキよ料理に味見は基本だろ・・・

「さぁ食べて!あっ、まずかったらまずいっていってね!

 嘘言われたら嫌だから」

・・・言うよね。言うよ。女の子はこういうこと。

 

意を決して、ひとくち・・・・


...((((( ̄‥ ̄;) マ、マズイ

こんなまずいカレーは食べた事がない!

 

そんな俺に向かって無邪気に聞くマキ。

「ねぇーどう?」

 

しょ、正直に言えって言ってたな・・・確か。

と言う事で・・・

 



「まずい!すげーまずい!」

 

・・・言ってしまった。後悔先に立たずとはこの事だろう。

 

「サイテー!!!」

 

マキはカレーをぶちまけ泣きだしてしまった。

それどころか僕に殴りかかり

「もう別れる・・・」

と夜の街中に飛び出して行った。

 

マキよ、泣きたいのはこっちだよ。


その後1週間は口もきいてくれなかった。

その日からマキの前で料理の話はタブーとなった。

その日以来、マキの料理を食べた事がないのは言うまでもない。


ちなみに仲直りの代償として指輪を買わされたのであった。