没後一周忌 追悼 映画監督・中島貞夫 | シネマ係長の秘密基地

シネマ係長の秘密基地

映画チラシ・玩具など長年収集していたコレクションを紹介しています。
「あらすじなどはチラシの裏面などをコピペしています」所有しているコレクションだけをダラダラ紹介しています。


没後一周忌 追悼 

映画監督・中島貞夫 

2024年6月8日~6月28日 シネ・ヌーヴォ

没後一周忌を迎え命日をはさみ多彩な映画18作品(+3本)一挙上映!

綺羅星のごときスターたちによる傑作を産み出してきた東映京都撮影所にあって、伝統的な勧善懲悪から外れた反逆的な映画を模索しながら、映画ファンを鼓舞し、ひたすら面白い映画を創り続けてきた映画監督・中島貞夫。やくざ映画から、風俗、任侠、時代劇、文芸、喜劇映画など多種多彩な作品を手がけるなか、体制から疎外された人間たちの渇きと愛を、スクリーンに描き続けた屈指の映画のアルチザン。社会からはみ出した男たち、そして女たちを、ただひたすら実直にダイナミックに描く活劇を見逃すな! 昨年6月に亡くなった日本を代表する監督・中島貞夫の命日をはさみ没後一周忌に多彩な映画18作品一挙上映!

上映作品

くノ一忍法

1964年/東映京都/カラー/87分/35mm
監督・脚本:中島貞夫/企画:小倉浩一郎/原作:山田風太郎/脚本:倉本聰/撮影:赤塚滋/音楽:鏑木創
出演:野川由美子、中原早苗、三島ゆり子、芳村真理、大木実、待田京介、山城新伍、小沢昭一、露口茂、小沢昭一、小暮実千代

◆豊臣秀頼の子供を宿した五人のくノー(女)とそれを絶やそうとする五人の伊賀忍者(男)との戦いを、艶笑喜劇として表現しようとした作品。スタジオ前にガードマンを立たせ、関係者以外立ち入り禁止で撮影したとか。中島貞夫の監督デビュー作。


893愚連隊

1966年/東映京都/白黒/88分/35mm
監督・脚本:中島貞夫/企画:天尾完次、日下部五朗/原案:菅沼照夫/撮影:赤塚滋/美術:矢田精治/音楽:広瀬健次郎
出演:松方弘樹、荒木一郎、天知茂、近藤正臣、高松英郎、広瀬義宣、ケン・サンダース、稲野和子、宮園純子、待田京介、遠藤辰雄

◆東映京撮にあって初めて試みられた現代劇。せこい悪事しかできないチンピラ達の生き方を通して、出始めた任侠映画の主人公たちに対する反発を表明。三作目にして早くも企業内抵抗派宣言。「粋がったらあかん。ネチョネチョ生きるこっちゃ」。


あゝ同期の桜

1967年/東映京都/白黒/107分/35mm
監督:中島貞夫/企画:岡田茂、俊藤浩滋、秋元隆夫/原作:海軍飛行予備学生14期会編「あゝ同期の桜」より/脚本:須崎勝也、中島貞夫/撮影:赤塚滋/音楽:鏑木創
出演:鶴田浩二、高倉健、松方弘樹、夏八木勲、千葉真一、夏八木勲、佐久間良子、藤純子、三益愛子、西村晃、小沢昭一、小池朝雄、天知茂

◆戦争末期の特攻という必死の作戦に選ばれた若き航空隊員たちの話。特攻機が敵艦に突っ込む時「この瞬間、彼らはまだ生きていた」とテロップを入れた事で、大川博社長にラストを切れと言われ、それなら自分の名前をタイトルから外してくれと揉めに揉めた作品。


大奥㊙物語

1967年/東映京都/カラー/95分/35mm
監督:中島貞夫/企画:岡田茂、翁長孝雄、松平乗道/脚本:国弘威雄、佐治乾、金子武郎、掛札昌裕/撮影:吉田貞次/美術:川島泰三/音楽:鏑木創
出演:佐久間良子、藤純子、岸田今日子、久保菜穂子、宮園純子、小川知子、萩玲子、山田五十鈴、高橋昌也

◆三話のオムニバス形式で大奥のしきたりを説明しつつ、理不尽な中にあっても抵抗しつつしたたかに強く生きる女たちを描く。後の大奧ものの様式基準を決定づけた作品。僕(中島)は東映に「女を撮りたい」って入ったんですよ。


にっぽん'69 セックス猟奇地帯

1969年/東映京都/カラー/93分/35mm
監督・構成:中島貞夫/企画:岡田茂、佐藤雅夫/構成:竹中労/撮影:赤塚滋/録音:荒川輝彦、溝口正義/編集:神田忠男/音楽:八木正生 ナレーター:西村晃

◆初めてのドキュメンタリー作品。日本が戦後から復旧し経済の最盛期を迎えようとする時代。今では羡ましいぐらいの凄まじいエネルギーが映像として捉えられる。熱い時代を演出した当時の政治・風俗状況のごった煮感が余すところなく切り取られている。


日本暗殺秘録

1969年/東映京都/カラー/142分/35mm
監督:中島貞夫/企画:天尾完次/製作:大川博/製作補:俊藤浩滋/脚本:笠原和夫、中島貞夫/原作:鈴木正/撮影:吉田貞次/音楽:冨田勲
出演:片岡千恵蔵、千葉真一、菅原文太、藤純子、里見浩太朗、田宮二郎、若山富三郎、高倉健、鶴田浩二

◆中島が自作で最も気に入っている作品。エロの次はテロでっせと吹いた挙句に、オールスター映画となってしまい四苦八苦してテロ史として映画を構成することになる。血盟団事件に関わった若者が、いかにしてテロリストになったのかを描く。若き千葉が監督の家に居候して、役作りをした。


温泉こんにゃく芸者

1970年/東映京都/カラー/86分/35mm
監督:中島貞夫/企画:岡田茂、天尾完次/脚本:掛札昌裕、金子武郎、中島貞夫/撮影:鈴木重平/音楽:広瀬健次郎
出演:女屋実和子、松井康子、荒木一郎、殿山泰司、小松方正、小池朝雄、榊浩子、片山由美子、上田吉二郎、武智豊子、常田富士男

◆タイトルの持つおかしさに合わせたお遊びがなければ成立しない。そこで玉音・軍歌をその道具として使用し、役者もそれなりに選ぶ。こんにやくで風呂を作り、セックス三本勝負もこんにやくエキスで勝利する。添え物映画の気楽さから、天外な発想をする。


木枯し紋次郎

1972年/東映京都/カラー/91分/35mm
監督:中島貞夫/企画:俊藤浩滋、日下部五朗/原作:笹沢左保/脚本:山田隆之、中島貞夫/撮影:わし尾元也/音楽:木下忠司
出演:菅原文太、伊吹吾郎、渡瀬恒彦、小池朝雄、川谷拓三、江波杏子、笹沢左保

◆「遊侠一匹」依頼の股旅時代劇。左文字の身代わりで島に送られた紋次郎が、裏切りを知って島抜けする。左文字は紋次郎が慕ったお夕と夫婦になっていた。左文字を殺されたお夕の泣き言に「あっしには関わりあいのねえことでござんす」。


鉄砲玉の美学

1973年/白楊社・ATG/カラー/100分/35mm
監督:中島貞夫/企画:天尾完次/脚本:野上龍雄/撮影:増田敏雄/音楽:荒木一郎、頭脳警察
出演:渡瀬恒彦、杉本美樹、森みつる、碧川ジュン、小池朝雄、川谷拓三、荒木一郎

◆企業内での映画制作の束縛を離れ、自由に映画を作りたいとATGと組んだ作品。百万円と拳銃を渡されて、九州へ鉄砲玉として送り込まれた清が、チンピラの怯えをハッタリかまして封印する。「みじめでむさい日常をやりたかった。」題名を自ら付けた唯一の作品。


ジーンズ・ブルース

明日なき無頼派

1974年/東映京都/カラー/91分/35mm
監督・脚本:中島貞夫/企画:日下部五朗/脚本:金子武郎/撮影:増田敏雄/美術:吉村晟/音楽:井上忠夫
出演:梶芽衣子、渡瀬恒彦、内田良平、山本麟一、室田日出男、北村英三、菅貫太郎、曽根晴美、川谷拓三、堀越陽子

◆仲間割れから大金を手にした男と、退屈な日常から逃げ出したい女が、車の事故を切っ掛けに出会う。そこから二人は何となく意気投合して、一緒に男の妹の待っ故郷を目指す。追手や警察から追われるうちに仲間意識を培うも、最後は自滅に追い込まれる。


脱獄・広島殺人囚

1974年/東映京都/カラー/97分/35mm
監督:中島貞夫/企画:日下部五朗/原案:美能幸三/脚本:野上龍雄/撮影:赤塚滋/美術:吉村晟/音楽:広瀬健次郎
出演:松方弘樹、梅宮辰夫、渡瀬恒彦、若山富三郎、伊吹吾郎、大谷直子、西村晃、小松方正、金子信雄、神山繁、名和宏

◆渡哲也の代役でNHKの大河ドラマ『勝海舟』に主演した松方弘樹のために準備された。脱獄を繰り返し最終的には41年7ヶ月の刑期となった、脱獄を繰り返して生きる男の執念を描く。広島刑務所の「お稲荷監房」から脱獄するシーンが見もの。


実録外伝 大阪電撃作戦

1976年/東映京都/カラー/96分/35mm
監督:中島貞夫/企画:日下部五朗、田岡満、橋本慶一、奈村協/脚本:高田宏治/撮影:増田敏雄/美術:佐野義和/音楽:津島利章
出演:松方弘樹、渡瀬恒彦、小林旭、丹波哲郎、梅宮辰夫、目黒祐樹、伊吹吾郎、成田三樹夫、片桐夕子、中原早苗、三上寛

◆日本最大のやくざ組織が大阪に進攻しようと目論む。しかしチンピラのかたまり集団「双竜会」の抵抗に遭い、そのチンピラたちを殲滅させる作戦にでる。巨大組織に立ち向かう、チンピラたちの意地を賭しての生き様が描かれる。中島貞夫の真骨頂。


狂った野獣

1976年/東映京都/カラー/78分/35mm
監督・脚本:中島貞夫/企画:奈村協、上阪久和/脚本:大原清秀、関本郁夫/撮影:塚越堅二/美術:森田和雄/音楽:広瀬健次郎
出演:渡瀬恒彦、室田日出男、川谷拓三、片桐竜次、星野じゅん、橘麻紀、中川三穂子、志賀勝、野口貴史、三上寛、笑福亭鶴瓶

◆宝石強盗を働いた速水は市内バスに身を隠すも、銀行強盗に失敗し逃げる二人組もそのバスに乗り込み、警察に追われることになる。乗り合わせた乗客を交えた逃走劇が始まる。中島はピラニア軍団座付作者の本領を発揮。最後のバス転倒シーンは衝撃。


総長の首

1979年/東映京都/カラー/137分/35mm
監督:中島貞夫/企画:俊藤浩滋、本田達男、田岡満/脚本:神波史男、中島貞夫/撮影:増田敏雄/音楽:森田公一
出演:菅原文太、清水健太郎、鶴田浩二、三浦洋一、ジョニー大倉、小倉一郎、夏純子、西村晃、樹木希林、金子信雄、舟木一夫、田中邦衛、梅宮辰夫、安藤昇

◆京都で起きたY組組長の襲撃事件の背景を、大正時代の浅草に設定を変えて三人のチンピラが属する血桜団側から描く。童謡「シャボン玉」がアナーキーな時代の雰囲気を醸し出す。主役であるべき菅原文太が、監督の意を受け一歩引いて演ずる異色の東映作品。


制覇

1982年/東映京都/カラー/140分/35mm
監督:中島貞夫/企画:俊藤浩滋、高岩淡、田岡満/原作:志茂田景樹/脚本:中島貞夫、西澤裕子/撮影:鈴木達夫/音楽:山本直純
出演:三船敏郎、岡田茉莉子、菅原文太、名高達郎、中井貴惠、秋吉久美子、松尾嘉代、梅宮辰夫、丹波哲郎、小林旭、若山富三郎、鶴田浩二

◆日本を制覇した親分が襲撃される。一命は取り留めたものの組織内に動揺が走る。妻のひろ子(岡田茉莉子)が、その組織の跡目争いにおける姐さんとして、また親分家族の母親としての存在感を増して行く。「極妻」の先駆けでもあり、中島得意の母ものでもある。


瀬降り物語

1985年/東映京都/カラー/125分/35mm
監督・脚本:中島貞夫/企画:本田達男、佐藤雅夫/撮影:南文憲/音楽:井上尭之、速水清司/美術:真鍋敏之
出演:萩原健一、藤田弓子、河野美地子、永島暎子、早乙女愛、殿山泰司、室田日出男

◆季節とともに、山中を移動する「サンカ」の生活を、一年通じて自然光の中で捉える。戦争の迫り来る時代に、そうした生活を続ける山の民の生活と、差別を受けながらも矜持を持って生きる民族の誇りを描く。迫り来る戦争の時代に、やがて臣民として併合されてしまう。


女帝 春日局

1990年/東映京都/カラー/114分/35mm
監督:中島貞夫/企画:日下部五朗/原作・脚本:高田宏治/撮影:木村大作/音楽:佐藤勝
出演:十朱幸代、名取裕子、鳥越マリ、草笛光子、金田賢一、吉川十和子、原田大二郎、高瀬春奈、本田博太郎、長門裕之、淡路恵子、若山富三郎

◆おふくは、夫の出世のためにと好色な家康に抱かれて懐妊する。二代将軍秀忠の正室・お江与が懐妊して乳母を募った機を捉え江戸城に入り込む。お江与の子・国松と自らの子・竹千代を秀忠の子と強弁しその跡目争いを制する。やがておふくは女帝となって権勢を振るう。


多十郎殉愛記

2019年/よしもとクリエイティブ・エージェンシー、東映/カラー/93分/DCP
監督・脚本:中島貞夫/製作:藤原寛/脚本:谷慶子/監督補佐:熊切和嘉/撮影:朝倉義人/美術:松宮敏之
出演:高良健吾、多部未華子、木村了、三島ゆり子、栗塚旭、山本千尋、永瀬正敏、寺島進
主題歌:中孝介「Missing」

◆中島監督の遺作。長州脱藩浪人として京都の街で隠れて生きる多十郎。その多十郎に想いを寄せるおとよ。兄を頼って弟の数馬がやって来るが見廻組に目を傷つけられる。その弟を逃すべくおとよに託し、自ら見廻組と延々刃を交える。時代劇の復興を願った作品。


関連上映

遊撃 映画監督 中島貞夫

2022年/吉本興業/カラー/88分/DCP
監督・撮影・編集:松原龍弥/企画・プロデュース:古賀俊輔/音楽:田井千里/編集:松原龍弥
出演:中島貞夫、高良健吾、多部未華子、倉本聰、三島ゆり子、橘麻紀、熊切和嘉、高田宏治、荒木一郎

◆『多十郎殉愛記』を撮る中島監督のドキュメンタリー。ここで描かれるのは、時代劇復興とその技術の伝承のために身を挺する監督と、その想いを受け止めつつ制約された条件の中で映画を作り上げようとするスタッフたちの奮闘。ここにはものを作る喜びがある。


日本幻野祭 三里塚

1971年/24分/16mm
監督:青池憲司/出演:頭脳警察ほか

◆1971年夏、成田空港建設反対闘争の最中、強制代執行の前に三里塚に“幻野”が出現。頭脳警察らがライブを行った幻の「祭」の記録。『鉄砲玉の美学』(音楽:頭脳警察)上映とあわせ、2023年7月亡くなったPANTAを偲び、青池監督をお招きし特別上映。


ピアノ導入記念 生演上映会

雄呂血

1925年/77分/デジタル/監督:二川文太郎/主演:阪東妻三郎

◆シネ・ヌーヴォ念願のピアノ導入を記念して、サイレント時代劇の傑作を生演奏付きでお披露目上映!上映するは、晩年、時代劇の復興を願った中島貞夫監督が絶賛するバンツマ圧巻の大立ち回りが光る歴史的名作『雄呂血』を特別上映!


中島貞夫監督プロフィール

1934年8月8日 千葉県東金市生まれ。陸軍大将・荒木貞夫から命名される。軍国少年として育つも、父の戦死から力を持つものに疑い始める。大黒柱を失った母が家業と子供を抱え、夜中に黙々と仏間の金具を磨く姿に、耐え忍ぶ女の強さを見ると同時に映画で表現する女性の原型とする。地元の高校には通わず東京の日比谷高校に進学し、ショートとして野球に熱中する。在学中に肺浸潤を患い休学を経て高校に戻り1年の浪人後、1955年に東大文学部入学。美学を専攻して倉本聰、村木良彦らとギリシャ悲劇研究会を立ち上げ、在学中の「オイディプス王」の上演が話題となり注目される。1958年東映に入社。大卒では務まらないと言われた、職人気質あふれる京都撮影所に助監督として配属される。まさに東映時代劇映画全盛の頃、助監督としてスタジオ内を走り廻る事になるが、やがて疑念を抱き、助監督として走らない運動を始めると共にシナリオの執筆に意欲を燃やし同人誌を発刊する。1964年東映京都撮影所所長・岡田茂に「おい、うるせいの」と声をかけられ企画を求められた時、山田風太郎原作の『くノー忍法帖』を提案する。そこから監督業をスタートさせ、玉石混溝の62本の作品を送り出す。ジャンルは選ばず東映の「斬り込み隊長」の異名をとるほど意欲的に取り組み重宝される。戦死は犬死にと嘯き撮った『あゝ同期の桜』で会社に睨まれる。自ら謹慎しますと国内に潜んでドキュメント『にっぽん‘69セックス猟奇地帯』をヒットさせ、カネも掛けずに儲けたからとオールスター映画にさせられた『日本暗殺秘録』は傑作になる。「切り込み隊長」はエロ路線にも参戦して『大奥㊙物語』『温泉こんにゃく芸者』。㊙と付けた岡田茂には頭が上がらなかった。テレビの話題を受けて『木枯らし紋次郎』。言われれば何でもやる。が、自由に映画を撮りたいとATGで『鉄砲玉の美学』。借金は免れたがタダ働きとなった。アメリカンニューシネマの台頭で『ジーンズ・ブルース 明日なき無頼派』。任侠映画は撮れないけれど実録路線の『脱獄広島死刑囚』『総長の首』なら心情としてやれる。でも本当にやりたいのは女性映画。『制覇』『女帝春日局』でその思いの幾ばくかを。長年の夢だった山窩。会社のお許しは得たが予算は出ない中で撮影所仲間の自薦自炊山ごもりで『瀬降り物語』。60年に及ぶ監督生活の中で心残りは時代劇映画。『多十郎殉愛記』は中島の映画に対する愛情と感謝の表明。そんな中島を『遊撃 映画監督 中島貞夫』は捉える。たかが映画じゃないかという思いと、それを選んでしまった自分とのせめぎ合いの中で中島は映画を撮り続けた。1987年、大阪芸術大学教授に就任し、後進の育成に努めるほか、2004年から京都映画祭総合プロデューサーに就任し映画の普及に取り組む。またKBS京都で1999年から始まった「中島貞夫の邦画指定席」の映画解説は2014年まで計654回に及んだ。『映像のスリット: わが映画人生』のほか、吉田馨と共著『映画の四日間 中島貞夫映画ゼミナール』、河野眞吾との共編著『遊撃の美学 映画監督中島貞夫』など著書多数。2023年6月11日死去。享年88。