刺青 堕ちた女郎蜘蛛 | シネマ係長の秘密基地

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刺青 堕ちた女郎蜘蛛 

2007年1月13日公開

谷崎潤一郎の名作短篇『刺青』を、モダニズムと日本的な美を融合させ、耽美的な世界を展開させる谷崎文学のエッセンスを映像に移し替えた愛と官能の物語。 

あらすじ夜の街

二人の出会いは、出会い系サイトだった。妻子と別居し、自己啓発セミナーの勧誘をしている男、二ノ宮 。やっと仕事にありつき、必死に今を生きようとしている。出会い系サイトのサクラをしている女、アサミ 。不倫に破れ、自暴自棄になっているアサミは、二ノ宮から携帯メールで送られてきた蝶の写真に魅せられ、サクラは相手とは外で会ってはならないという規則を破り、彼と会うことにした。喫茶店で熱心に勧誘する二ノ宮に続いて、セミナーの主宰者・奥島 が現れる。落ち着いた口調ながら、有無を言わせぬ凄みにアサミは飲み込まれ、その日のうちに奥島に抱かれてしまう。奥島はアサミを自分の女にすべく、自らの背中の不動明王と同じく、彼女にも刺青を入れようとしていた。翌日、二ノ宮はアサミを連れ、刺青師・彫光の家に向かった。麻酔をかがされ、裸にされるアサミ。その白い肌に除々に女郎蜘蛛の刺青の輪郭が描かれてゆく。目が覚めて背中の下絵に驚愕するアサミだったが、その凶暴さの中にある神々しい品格にいつしか魅せられ、もうひとりの自分へ変身を決意するのだった。アサミの肌に墨が入る。苦痛の表情から恍惚の微笑へ。アサミの身体に今までにない、壮絶な美しさが宿る。一方、一生に一度出会えるかという彼女の肌に魅せられた彫光も、一心不乱に針を入れつづける。いよいよ明日で刺青も完成するという前日の夜。アサミは不倫相手の神崎 を街で見かけ、見せつけるように二ノ宮と唇を重ねる。二ノ宮はアサミを求めるが、あっさりと拒まれる。気まずい二ノ宮をホテルに誘ったアサミは、嫌がる二ノ宮に鮮やかな女郎蜘蛛の刺青を見せる。アサミは以前とは別人のように、強く、美しくなっていく。そんな彼女の変化についていけない二ノ宮。アサミは神崎とホテルで抱き合うが、彼はその刺青を見たとたん、驚き、土下座して、一目散に逃げて行った。まるで、女神のように神々しくなって行くアサミは、サクラで騙していた男たちをホテルに呼び、過去を贖罪するかのように、自らの身体を与えていくのだった……。


監督:瀬々敬久

脚本:井土紀州

原作:谷崎潤一郎

企画:加藤東司、武内健

製作:松下順一

プロデューサー:小貫英樹、佐藤嘉一

照明:佐々木英二

撮影:芦澤明子

【キャスト】

川島令美、和田聰宏、光石研、嶋田久作、松重豊