扉の影に誰かいる | シネマ係長の秘密基地

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扉の影に誰かいる

1971年8月7日公開
妻の浮気が許せずにいる精神科医は、記憶喪失の男を利用しある計画を企てる…。
あらすじドア
記憶障害の男との出会いが有能な医師を完全犯罪へと駆り立てる・・・!

ここはロンドン郊外の病院。そこの精神料医のローレンス は、明け方に運び込まれた、記憶喪失と思われる男 を、自宅まで連れ帰った。名目上は治療ということであったが、その行為の裏には、プライベートな或る企みがあった。それは妻フランソワーズ のローレンスへの背徳に対する報復であった。彼女には、ポール というジャーナリストの愛人がいたのだった。当然、ローレンスの怨みの殺意は、このポールに向けられた。しかし、自分で手をくだすことはならない、と考えた彼は、記憶喪失の男を利用することを思いついたのだった。まずローレンスは、その男が記憶している、イースト・クリフ海岸での傷ついた女のイメージを利用して、その男の中に、虚構の記憶を作りあげ、自分の性格の一部を移植していった。男は時折、記憶の混乱にいらだちながらも、フランソワーズを自分の妻だと信じ込み、ポールへの怒りを燃やした。こうして、ローレンスのプライベートな治療は成功し、彼は演技者から観客へと位置を移した。そして、いよいよ予定通りの工作をほどこして、その男の前にフランソワーズと愛人のポールが現われた。男はローレンスの目論見通り、ポールを射殺し、フランソワーズを抱擁しようとした。その時、彼にとっては思いがけない彼女の抵抗をうけ、男はむりやり彼女を組みしこうとした。暴力をふるう彼の脳裏には、その時、イースト・クリフで若い女を暴行している自分の姿が映っていた。すべては終った。自分の実験が成功したことを確認したローレンスは、傀儡としての役目を果した男と、放心する妻の前に姿を表わした。自分の治療の成果を満足気にみていた彼は、男が自分の本当の記憶を求めて海岸へ去った後、妻と向かいあった。彼女は彼の企みを見抜き、完全犯罪の成功を、冷笑するように祝った。そこには二人の愛が甦える、何の可能性もなかった。ローレンスは、自分の計画が、愛を完全に破滅させてしまったことを知り、崩折れた。この企みが無に帰したその頃、イースト・クリフの海岸では、ただひとつの記憶に誘われて渚をさまよう、精神病院脱走者のよるべない姿があった。

監督:ニコラス・ジェスネール
脚本:マルク・ベーム、ニコラス・ジェスネール、ジャック・ロベール
原作:ジャック・ロベール
【キャスト】
チャールズ・ブロンソン/アンソニー・パーキンス/ジル・アイアランド/アンリ・ガルサン/
A・マジェストレッティ