犬と女と刑老人
1994年7月23日公開
あらすじ
1972年、辺境の地・寧夏にある村で、長年愛犬と共に畑を耕して暮らしている刑老人(謝添)の家に、山の向こうの村から物乞いの女がやって来た。女(斯琴高娃)は、年のころは30代半ばで、何日も飲まず食わずの様子である。刑老人は水と食料を与える。夢中で食べた女はうとうとと眠ってしまった。物音で目を覚ますと戸外は砂嵐が吹き荒れ、老人の勧めで女は一晩を彼の家で過ごした。顔の汚れを落とし身を整えた女は、豊満で女盛りの美しさをたたえていた。その日から女は、老人の身の回りの世話をするようになった。60歳を越えた老人は、貧しさから一度も嫁を取ることなく、長年愛犬と暮らしてきた。気立てがよく、よく働く女は老人にとって、紛れもなく天女だった。女は山野村に2人の子供を残していた。文化大革命の嵐が吹き荒れた山の村で、富農出身というだけで攻撃された彼女は、飢饉になった村の食費を一人分浮かすために物乞いに出たのだった。秋が来て穫り入れが終わった後、刑老人は町に砂を運ぶために3日間家を開けた。女は涙ながらに老人を見送った。彼が戻った時、きちんと整頓された家の中に女の影はなかった。沈み込む老人に追い打ちをかけるように、年間に穀物90キロを消費する犬を飼うことは無駄であるとして、犬殺しの命令が発令された。愛犬に最後の別れを告げた老人の耳に、非情な銃声が響く。
監督: シエ・チン
原作: チャン・シエンリャン
脚本: リー・チュン
撮影: ルー・チュンフー/カオ・ケンロン
音楽: チン・フーツァイ
出演: シエ・ティエン/スーチン・カオワー/カオ・パオチョン/フォン・エンフー/モン・チン/ウェイ・チイチン