不滅の恋/ベートーヴェン
1995年12月1日公開
生涯を独身で通した楽聖ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、その遺書で触れた“不滅の恋人”の謎に迫るミステリー・ロマン。
あらすじ
1827年、ベートーヴェン が世を去った。その遺書には、「私の楽譜、財産の全てを“不滅の恋人”に捧げる」とあったが、それが誰を指すのか、誰にも分からなかった。彼の弟子で親友のアントン・シンドラー は、莫大な財産を欲しがる親戚たちを説き伏せ、ベートーヴェンの本当の心を知るため、彼女に当てた3通の手紙を手掛かりに“不滅の恋人”を捜し始めた。まず最初に訪ねた女性は、ベートーヴェンより14歳年下のジュリエッタ・グィチアルディ伯爵夫人 だった。20年前、17歳だった彼女は、演奏会で初めて聴いた彼の情熱的な音楽に瞬く間に虜になった。名のある音楽家と、粗野で洗練されていない振る舞いの、その落差の間で気持ちが揺れ動くが、ピアノを教えに家に来るベートーヴェンの魅力に次第に心引かれる。だが、彼女に聴覚障害があることを試された彼は怒り、以来、生涯会おうとはしなかった。シンドラーは次に、ハンガリーの伯爵夫人アンナ・マリー・エルデーティー を訪ねる。ベートーヴェンがピアノ協奏曲第5番『皇帝』を披露しようとオーケストラの指揮をとるが、既に耳が聞こえず音が会わないために聴衆から失笑を買った時、客席から立ち上がり彼を助けた勇気ある女性だ。この出来事がきっかけで、二人はアンナの屋敷で幸せな一時を過ごす。シンドラーの熱心な調査に、ベートーヴェンとの長年の確執を抱え、その財産を当てにしている貴族たちは不愉快さを隠さなかった。幼少の頃から父の暴力を受け、ピアノのレッスンを強いられてきたベートーヴェンは、家族に屈折した愛情を抱いていた。弟カスパール とその恋人ヨハンナ が結婚すると聞いた時も、彼女を娼婦扱いする怒りようだった。肺病でカスパールが亡くなった後は、息子カール の養育権を巡ってヨハンナと裁判で争い、勝ち取るとピアニストに育てるべく自分の全てを与えようとする。しかし、カールは伯父からのプレッシャーに耐えられず、自殺を図る。やがて、シンドラーはある結論にたどり着く。ベートーヴェンが愛した女性はヨハンナで、彼が溺愛したカールは彼の子であった。
監督・脚本: バーナード・ローズ
撮影: ピーター・サスチスキー
音楽: サー・ゲオルグ・ショルティ
出演: ゲイリー・オールドマン/イザベラ・ロッセリーニ/バレリア・ゴリノ/ヨハンナ・テア・ステーゲ/ジェローン・クラッベ/クリストファー・フルフォード/マルコ・ホフシュナイダー