卒業~虚無~

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受付を済まし呼ばれるのを待つ。

 

医者はこの傷を見て何と言うのだろうか。。。

 

どんなことを言われても真実しか話せない。

 

無言で待合室にいる私と娘。

何も言葉が出てこない。

 

娘は無表情。

時折見せる笑顔も狂気じみてる。

 

頭おかしいよ。。。

 

アスペとか関係なしに、他人としか思えない感情が沸いてくる。

 

呼ばれて診察室に入る。

 

「どうされましたか?」

 

医者の言葉と同時に、娘の腕を見せる。

 

「・・・」

 

当然だろう。

言葉を失っている様子が、手に取るようにわかる。

 

「これは。。。縫いますね。

これはダメだ。縫わないとダメです。

(切ったのは)いつですか?」

 

「今朝、友人のメールで知りました。」

 

看護師に腕を縫うための手配と準備を指示する。

それ以上は何も聞かない。

 

正直助かった。

責められてもおかしくない状況。

親として何をやっているんだと叱られても仕方ない状況でありながら、

先生は何も言わなかった。

 

「縫う時痛いから、麻酔しようか?」

 

娘に問いかける先生。

 

「大丈夫です。痛くないですから。」

 

強がりか、麻酔を拒否する娘。

 

だまって見ている私。

 

処置が始まる。

 

「痛いでしょ?痛かったら言ってね。

我慢することはないんだよ。」

 

「大丈夫です。」

 

先生の促しにも動じない。

 

本気で頭おかしいよ。。。

 

 

何か所縫っただろうか。。。

40ヵ所までは覚えている。

まだまだ処置は終わらない。

 

30分くらいかけて処置してもらい、説明を受ける。

 

「きっと、傷は残ります。

特に深い所は、もう諦めてください。

この傷で痛みが無い事の方がおかしいので、行きつけの病院はありますか?」

 

「はい」

 

「一度早めに受診してください。

正直、ここまでのものは初めてです。

 

「わかりました。」

 

「二日後に来てください。

抗生物質も出しますね。

熱が出るようならすぐに来てください。」

 

「わかりました。ありがとうございます。」

 

処置を終え、包帯が巻かれた腕。

 

処置室を出て娘が言った。

 

「包帯って、わくわくする。

自分が病人って感じで。

 

このまま(精神)病院に行く?」

 

目に見えない岩石に頭を打ち付けられたような感覚。

 

自分の状況をどう捉えているのか、そこには闇しかなかった。

輝きを失った目。

その目の奥には、ギラギラした気持ちの悪い閃光をしたためた無が見えた。

 

もう、この子は人として生きていけないのではないだろうか。。。

心の闇は果てしなく広がる。

 

続く...