睡眠中というのは、私たち人間は肉体からぬけだします。そんなことはないといっても、みんな例外なく、そうなっているようですね。ただ、覚えていないだけです。では、どうやったら、そんなことができてしまうのでしょうか。というと、アストラル体とかもっと精妙で高次のボディとしてぬけでるのです。残されるのは肉体とエーテル体だけです。それが寝床に横たわっている状態です。これは、人間が死亡する場面でも起こることです。人が死ぬ瞬間に、それを見守る人が、ゴーゴーと風のうなるような音を耳にしたという話はよく聞かれます。人間が死ぬというのは、肉体から魂がぬけることで、肉体が滅びても、魂は永遠に旅をつづけるのよということを、映画〝西の魔女が死んだ〟の中でマイちゃんの大好きなおばあちゃんがマイちゃんの疑問に答えて語る場面にもでてきましたね。

 話を睡眠中の生活にもどしましょう。寝ているあいだ、アストラル体がでていってしまった肉体は、その部分が空き家みたいになってしまいます。すると、周囲のアストラル質料の圧力が、他のアストラル質料をこの隙間に押し入れます。その結果、仮のアストラル体がにわかにつくられることになります。それは肉体によく似ています。しかし、肉体とはまったくつながっていないために、肉体としての用をなさないのです。そして、主人である本物のアストラル体が再び肉体に帰ってくると、たまたま肉体のそばにあったアストラル質料の粒子が引き寄せられてできた臨時のアストラル質料は、簡単に追い出されてしまいます。

 睡眠をとるときには、だから、どんな環境に寝るかを、気をつける必要があります。環境が悪い場合は、望ましからざるアストラル質料が、アストラル体の主人のお留守になった空き家である肉体に入り込み、満たしてしまうことによって、本物のアストラル体がもどってきたときには、不愉快な反応を受けてしまうことになるからです。

 人が完全に寝入ってしまうと、それまで使われていた媒体である肉体は、しばし打ち捨てられた廃屋のように〝不在〟となります。そして、アストラル体と高級な諸体がぬけでていってしまったあとの肉体とエーテル体がベッドに横たわり、アストラル体はその上に浮かんでいるのですが、睡眠中はこちらの体のほうにいて、これを使っています。

 ただし、睡眠中にアストラル体をどれだけ有効に使えるかは、人それぞれによって異なり、それはその人の意識の発達段階によるということが、大切な点です。

 では、どんなふうに異なるのかを、次回以降で発達段階別に順次述べてゆくことにします。