けふは少し身體を休めることにする。
 今週は、だいぶタイトな豫定が組まれていて、原稿の方の取組みも幾つかは完成に近づけたいと考へてゐるのでエナジーの充電日にするつもりである。
 本當は幾つか記事を上げたいのであるが、後奈良天皇さまの御製紹介だけにします。
 
 
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戰國『御製に學ぶ日本の心』148
      謹解 小林 隆
《目 次》
三 戰國時代天皇御製  1467年 ~ 1573
 後土御門天皇  謹解64首(謹撰190首)全1248首 
 後柏原天皇  謹解53首(謹撰339首)全3706首
 後奈良天皇  謹解62首(謹撰70首) 全1002首(漢詩2首)
  
【戰國時代天皇御製謹解】148

【後奈良天皇】26  (第百五代天皇)
  
【後奈良天皇御製謹解】22
  明應五年(1497) ~弘治三年(1557)崩御
  御製全1002首  謹撰 70首 謹解 62首
 
《享禄三年》一 全四十首 御年 三十五歳
(神祇) 
 御題「神祇」  
いそのかみ古き茅萱
(ちがや)の宮柱(みやばしら)
 たてかふる世に逢はざらめやは

 
 享禄三年(1530)十二月二十五日

「いそのかみ」…「石上神宮」。
「舊き茅萱」…「古くなつてしまつた茅の屋根」。
「宮柱」…「神社の心柱」。
「たてかふる」…「建て替へる。遷宮を行ふ」。
「逢はざらめやは」…「逢へないのであらうか。いやきつと逢へるに違ひない」。

 
【大御心を推し量る】
 「いそのかみ」とは、奈良縣天理市にある石上神宮のことです。
 伊勢神宮と並ぶほど歴史の古さを持つてゐる日本最古の神社です。
 この御製では「古き」に懸かる枕詞として使はれてゐる可能性もあります。
 「茅萱」とは茅葺きの屋根と解します。
 これは石上神宮のご遷宮を實現を願はれ、必ず建てかへなければならぬし、さうせずにはおかぬといふ、強い意志を感じさせて戴ける御製ではないでせうか。
 これは、世の中に平安と安穩が訪れることがなければ御遷宮などは出來ません。一日も早く戰國の世が八百萬神々のお力を結集して終焉することを願はれての大御歌であらふかと拜察します。
 石上神宮の御祭神は、石上大神になり、第十代崇神天皇七年に創建されたと傳へられます。武門の棟梁とも言はれる物部氏の總氏神とも言はれてゐます。別名「石上社」「布留社」とも呼ばれてゐました。
 この年の一月には、戰國時代を代表する英雄上杉謙信が越後國で誕生してゐます。