本稿は12月6日の續きになります。
http://ameblo.jp/kotodama-1606/entry-11718754663.html
84 藤原清輔朝臣
(ふじわらのきよすけあそん)
(1104年~1177年)
上の句 ながらえば またこのごろや しのばれん
歌の背景
語の解釈
*「ながらへば」とは、
「生き長らえれば」という意味になります。
「ながらへば」は「ながらふ」の未然形に
接続助詞「ば」がついた言葉です。
「永らへば」と書きます。
その意味は「長生きをする」「生き長らえる」になります。
*「しのばれむ」とは、
「懐かしく思い出す」という意味になります。
「しのば」は動詞「しのぶ」の未然形、
「む」は推量の助動詞「む」の連体形です。
* 「憂しと見し世ぞ」とは、
「辛いと思った時代」という意味になります。
「今は恋しき」に続いていますから、
辛い時代でも懐かしく思える、
そのように思ったのですね。
人間には、つらい事に合う時もあります。
しかし、過ぎてしまったなら、
それを懐かしく
「あのつらいことがあったから自分は成長できた」
と思うことができるのです。
人物
*藤原清輔は、藤原顕輔
(第七十九番「秋風にたなびく雲の絶え間より」の作者)の
子供で、清輔は当時定家の父藤原俊成と
二大宮廷歌人として名高く、
和歌の家元といえる六条家の名を
不動のものとした歌人です。
しかし、その後南北朝時代に
その家は断絶してしまいます。
今も続いている六条家は、
村上源氏の系統で和歌の家元ではありません。
和歌の百科全書ともいえる
『袋草子』や『和歌初学抄』は
この藤原清輔が書きました。
かるた一口メモ
「なが」で始まる歌は二枚です。
この歌は「ながらへば」の三音
「ながら」で取れる三字決まりの札です。
もう一枚は「ながからむ」で、
下の句は「みたれてけさはものをこそおもへ」です。
こんど「なが」と詠まれたらその札を取って下さい。
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84 藤原清輔朝臣
(ふじわらのきよすけあそん)
(1104年~1177年)
ながらへばまた此の頃やしのばれむ
憂しと見し世ぞ今は戀しき
(新古今集)
憂しと見し世ぞ今は戀しき
(新古今集)
(歌の詠み方)
上の句 ながらえば またこのごろや しのばれん
下の句 うしとみしよぞ いまはこいしき
《歌意》
生き長らえれば、今この時も懐かしく思われるのだろうか。
昔、辛いと思った頃のことが、今では恋しく思われるから。
生き長らえれば、今この時も懐かしく思われるのだろうか。
昔、辛いと思った頃のことが、今では恋しく思われるから。
歌の間のエピソード
歌の背景
*この歌は、藤原清輔が三十歳の頃に
作られたと傳えられています。
現在の苦悩を元として、
過去をなつかしんでいる境地は
普通であれば長い人生遍歴の後に
到達する心ですが、清輔は若くして
ここに立ってしまったのです。
時代は平安末期の
保元・平治の乱の起こる二十年程前、
公卿達が時代の嵐の中
崩壊の兆しを見せ始めた頃の歌です。
作られたと傳えられています。
現在の苦悩を元として、
過去をなつかしんでいる境地は
普通であれば長い人生遍歴の後に
到達する心ですが、清輔は若くして
ここに立ってしまったのです。
時代は平安末期の
保元・平治の乱の起こる二十年程前、
公卿達が時代の嵐の中
崩壊の兆しを見せ始めた頃の歌です。
語の解釈
*「ながらへば」とは、
「生き長らえれば」という意味になります。
「ながらへば」は「ながらふ」の未然形に
接続助詞「ば」がついた言葉です。
「永らへば」と書きます。
その意味は「長生きをする」「生き長らえる」になります。
*「しのばれむ」とは、
「懐かしく思い出す」という意味になります。
「しのば」は動詞「しのぶ」の未然形、
「む」は推量の助動詞「む」の連体形です。
* 「憂しと見し世ぞ」とは、
「辛いと思った時代」という意味になります。
「今は恋しき」に続いていますから、
辛い時代でも懐かしく思える、
そのように思ったのですね。
人間には、つらい事に合う時もあります。
しかし、過ぎてしまったなら、
それを懐かしく
「あのつらいことがあったから自分は成長できた」
と思うことができるのです。
人物
*藤原清輔は、藤原顕輔
(第七十九番「秋風にたなびく雲の絶え間より」の作者)の
子供で、清輔は当時定家の父藤原俊成と
二大宮廷歌人として名高く、
和歌の家元といえる六条家の名を
不動のものとした歌人です。
しかし、その後南北朝時代に
その家は断絶してしまいます。
今も続いている六条家は、
村上源氏の系統で和歌の家元ではありません。
和歌の百科全書ともいえる
『袋草子』や『和歌初学抄』は
この藤原清輔が書きました。
かるた一口メモ
「なが」で始まる歌は二枚です。
この歌は「ながらへば」の三音
「ながら」で取れる三字決まりの札です。
もう一枚は「ながからむ」で、
下の句は「みたれてけさはものをこそおもへ」です。
こんど「なが」と詠まれたらその札を取って下さい。