本稿は7月2日の續きです。
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國體の本義解説  4
  執筆原稿

               編著  小林 隆 


※參考文獻資料
・『國體の本義』          文部省  昭和十二年
・日本古典文学大系『日本書紀』上・下巻     岩波書店刊
・日本古典文学大系『古事記・祝詞』       岩波書店刊
・『詔勅集』         塚本哲三編緝   
・『神皇正統記評釋』     大町芳衛著
・『古事記傳』        本居宣長著 一巻
・山鹿素行『中朝事實』    島津學堂譯著
・『日本外史』        頼山陽著
・『直毘靈』         本居宣長著
・『靈能眞柱』        平田篤胤著
・『詔勅集』         塚本哲三編集    有朋堂刊
・『高山彦九郎全集』     高山彦九郎先生遺徳顕彰會 
・『眞木和泉守全集』     小川常人編  水天宮刊
・『講孟剳記』        吉田松陰著
・『古事記概説』       山田孝雄著
・『奈良朝文法史』      山田孝雄著
・日本古典文学大系『萬葉集』一~四巻      岩波書店刊
・『萬葉集古義』一~十五巻  鹿持雅澄著
・藤田東湖『弘道館記述義小解』加藤虎之亮著
・國史と日本精神の顯現   清原貞雄著
・日本二千六百年史     大川周明著
・『皇道の本義』       今泉定助著
・『少年日本史』       今泉澄著
・『萬葉集評釋』       山路光顯著
・『柿本人麻呂』       武田祐吉著
・『人麿と其歌』       樋口功著
・『有職故實』        江馬務著
・『尊壌論』         玉川治三著
・『神ながらの道』      J・W・T・メーソン著
・修養大講座『靖獻遺言』   加藤拙堂編著
・修養大講座『言志四録』   加藤拙堂編著
・日本上代史の一研究     池内宏著
・『憲法改悪の強要』     J・L・ウェスト著
・モラエス『日本歴史』    V・モラエス著 花野富蔵譯
・『天皇國見聞記』      P・クローデル著
・『告日本國』        P・リシャル著 大川周明譯
   

 「國體」とは奚なんぞや! 4







 外國の國家を考へた時、
 その歴史は一定して居ることはありませんでした。


 お隣の支那を觀ても
 其の歴史は僅か六十年
 あるかないかと云ふところであります。


 支那四千年などと言つてをりますが、
 現在の國家體制で
 考えたならそんなものであります。


 欧米諸國を考えたなら、
 一千年の歴史を持つてゐる國など存在しません。


 フランスは今の國家體制になつてから
 百年になるかならぬかであります。


 イギリスにしても、
 五六百年あるか無しかと云ふところであります。


 ヨーロッパで一番古い王國はと云へば
 デンマーク王國でありますが、
 それすら一千年はある筈もありません。


 アフリカや中近東を考えても文明としては、
 五千年以上の歴史を持つては居ますが、
 其の國家體制と云ふことで考えたならば
 六十年あるかないかと
 云ふことになつてしまひます。


 これらをふまへてフランスのポール・リシャルは、
 日本といふ國について、


「かつて他國に隷属されざる唯一の國」


 と表現しました。


 世界の歴史を見た時、國家成立以來、
 其の國家體制を變へなかつた國は、
 唯だ私たちの國日本しかありません。


 それがいかに凄いことなのか、
 皆さんにはぜひ考えていただきたいのです。


 正に此處にこそ世界に誇るべき
 「國體」があると言えるのであります。



 ここをもう少し詳しく述べますと、
 外國に於ては、國民が自ら望むにしても
 望まぬにしても國家體制は大きく變つてゐます。


 世界最古の文明と
 言われるメソポタミア文明は、
 その形骸を残してゐるのみであります。


 六千年前からのエジプト文明によって
 成立したエジプトといふ國にしても、
 今の國家体制はその往時の面影は
 遺跡に見ることしかできません。


 インド・支那四千年とは雖も、
 其の國家体制から考えたならば
 第二次世界大戦以降に
 今の國家体制となっているのであります。


 日本のみ國家成立以来變ることなく
 二千年以上に亘り國家の本質が
 續いて來てゐるのであります。


 これが日本の『國體』が絶對的な存在であり、
 世界に誇るべき事でもあり、
 日本といふ國が神によって
 選ばれし國であると云ふことであります。


 何故そのやうに云ふのか。


 それは、我が國が
 天照大神の御子孫であらせられる
 天皇を中心として成り立っており、
 吾等の祖先及び私達は
 其の生命と流動の源を
 常に仰ぎ奉つて居ることが
 明徴であるからと云へます。


 これは現代に於ても變ることなき
 永遠絶對の眞理なのであります。



 戰前の日本を訪れた
 多くの外國の知識人達は、
 それを次のやうに言っています。



(ポルトガル・「ヴェンセスラウ・モラエス」)





「八百萬の神々は
 世界の殘餘とその住民とを
 少しも顧慮し給はずして、
 ただ日本の列島と其の國民とをのみを
 撫育し給うたのではなかつたか。

 確かにそうだったのである。

 日本人は神々によって祝福された
 例外的國民なのである。

 日本國民こそは、
 他の人類には絶對に見られない
 神々の子孫なのである」 

 フランス・「ポール・クローデル」




 「日本人は数世紀に亘って
 世界の如何なる接觸もなしに
 いられることを見せつけてきた
 孤立した集団なのです。

 其の國は完璧に築き上げられ、
 飾り立てられた一種の聖域である」

               
イギリス・「トーマス・ベイティ博士」



「彼をして日本に永住せしめた動機は、
 まさしく彼が此の國に
 眞の宗敎・最高至上なものに
 對する眞の信頼・神が常在し
 現在するといふ意識を
 發見したからに他ならない」


フランス・「ポール・リシャル」




                 
「建國以來一系の天皇、
 永遠に亘る一人の天皇を
 奉載せる唯一の民!

 汝は地上の天国に向つて、
 人は皆な一天の子にして、
 天を永遠の君主とする
 一個の帝國を建設すべきことを
 敎へんが爲に生れたり」


 これらの文章から、
 我が國こそ世界に類のない
 絶對的本質が存在すると云ふ事が
 明確となるのであります。


 この絶對的本質の理解が
 眞の『國體觀』へと繋がるのであります。


 戦前の文部省編纂の
 『國體の本義』といふ本には、
 『國體』について次のやうに述べられてゐます。

「大日本帝国は、
 萬世一系の天皇
 皇祖の神勅を奉じて
 永遠にこれを統治し給ふ。
 これ、萬古不易の『國體』である」
と。


 

※米國オバマ大統領に謁見する天皇陛下


 日本という國家とは、
 かういふ國なのであります。


 そして、その國家の本質が
 即ち國體と云ふことなのであります。


 今日の我が國民の思想の混亂、
 文化の衰弱頽廃、生活の動揺、
 そして、特に精神の堕落は
 國體觀の喪失から來てゐると
 言つても過言ではないと
 私は思ふのであります。



 戦後の西洋思想禮讃の世の中の流れは、
 自らの國の國家觀を見失はせ、
 自らの國のことについて
 語れる者の少なさとなり、
 それが故に迷妄の世を
 創出していると言へるのであります。


 今の吾國の精神的混亂の解決への道は、
 西洋思想の本質を徴見すると共に、
 眞に吾國の「國體の本義」を
 體得する事によつてのみ解決せらるると
 私は愚考してゐる次第であります。

 而して、此事は獨り我が國のみならず、
 今や個人主義の行き詰まりを來たし、
 その行き詰まりに苦しむ世界人類のためにも
 重要なことであると思ふ次第なのであります。


 しかし、今や日本人は
 國體の本義といふものを
 意識の底に閉じ籠めてしまったが爲に、
 自らの國に對して誇りを持つことが出來ず、
 それが故に様々な悪影響を
 各部門に亙り與へてしまってゐるのであります。