先日、こんなツイートがRTされてきました。

「聞くだけで英語が話せるようになるCD、誰でも楽で簡単に確実にもうかる方法、食べるだけで痩せる食品・薬。この3つは絶対に存在しない。そのことを学校教育で教えるべきだ」

なるほどー。確かに確かに。
特にひとつめの英語の件については我が意を得たり!という感じです。

よくありますよね、英語は勉強しなくていい、英語のCDを聞き流すだけでOK!みたいな教材。

その手の「聞くだけでOK」系英語教材ではよく「赤ちゃんは勉強しなくても言葉が話せるようになる」というのを論拠にしています。

でもね!
赤ちゃんと大人では脳が違うから!

私は一応大学時代に発達心理学を学んだり、手話通訳の関係で言語について勉強したりしてきたので、言語の獲得についてちょっとは知っている。

だから、「赤ちゃんは文法なんて勉強しなくても話せるようになるでしょ?それと同じよ」みたいな論法には反発を感じてしまうのです。

一方で。
娘は今2歳ですが、英語の早期教育のDMが来ます。
「聞いたままを素直に覚える今、柔軟な耳を持っている今から英語の発音に親しもう」的な。

実際、2歳児の言葉(日本語)の吸収ってすごい。
毎日どんどん覚えて、日々語彙が増えていくのです。

その様子を目の当たりにしていると、うちは夫(外国語学部卒)と話しあって英語の早期教育はしないと決めていたのですが、うっかり「このペースで英語を習得できるならいいかも」なんて考えちゃいます。

だけど同時に、2歳児も自動的に言葉が次々とインプットされていくわけではないのだ、と娘を見ていて強く感じました。

娘はよく、私の言ったことを聞いたまま繰り返して自分でも言ってみます。
一度ではうまく言えないこともままあり、私は同じことを何度も言って聞かせます。
そういう時、私は娘にわかりやすいようにはっきり、ゆっくり発音します。
そもそも娘に話しかけるときは、大人に話すより平易な言葉遣いをします。

娘はオウム返しに言うことで発音を覚え、文脈等から意味を理解し、そして自分でも使ってみます。

そこには自分のレベルに合った語りかけがあり、練習があり、自分の発話に対する反応があり、コミュニケーションの喜びがある。

その中で徐々に語彙が増え、話せるようになっていくのです。

それは大人の思う「勉強」のように自覚的だったり意図的だったりするわけではないけれど、「周りで日本語が飛び交っている環境にいるから、自然といつの間にか話せるようになっている」というほど受け身なものでもない。

まして、言語習得の臨界期をとっくに過ぎた大人が、英語のCDを聞き流すだけで話せるようになるわけがないのです(力説)。


…あ、いや、それが言いたくてブログ書いたんじゃないんだった(笑)


英語の早期教育の話。

我が家は「まず母語である日本語をしっかり習得してから」という考えで英語の早期教育には消極的です。

でも、幼いころから英語に親しみ、苦手意識を持つことなく成長する、ついでに良い発音やイントネーションも身につけられるとすれば、早期教育も悪くないですよね。

ただし、早期教育を始める前に、ゴールは何なのか?どこを目指すのか?ということを考えておく必要があるんじゃないかなあと思います。

よく「これからは英語ができないと」とか「グローバルな人材になって欲しい」とか言いますよね。
あと多いのが「自分が英語が話せないから/英語で苦労したから、子どもにはできるようになってほしくて」というパターン。

うんうん。
つまり、大人になったとき英語ができる人材になっていてほしいわけね。

でも、言語は使わないと忘れちゃうんです。
小学校に上がる頃にある程度のフリートークやスピーチが出来るようになっていたとしても、ずっとブラッシュアップしていないと錆びついちゃうんです。

学校教育の英語でブラッシュアップできるか?
うーん、現状あんまり期待できないですよね。
じゃあ、ずううっと英語教室に通わせ続けるのか?
それもいいけど、トータルでどのくらいの出費になるんだろう。

それから、英語さえできればグローバルな人材だというわけでもないですよね。

それについては面白い記事がありました。

急増中!「英語ができて、仕事ができない」若手社員たち
「英語ができるなんて、読み書きソロバンができるのと同じようなレベルの話なんですよ。ソロバンができても仕事ができるとは限らない。英語も同じことです。英語圏で育てば、誰だって英語が話せる。彼らがみな仕事ができるかといえば、そんなわけはありません。常識で考えればわかることなのに、それを忘れている企業側も問題です」

 英語はビジネスの「道具」に過ぎないのであって、それを操る人間に中身がなければ結果には直結しないのは当たり前だ。


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英語の早期教育を頭から否定するつもりはありません。
小学校から英語教育が始まる今、早くから英語に親しんでおくことは悪くないと思います。

でも、以前テレビで子どもの英語教材に80万円かけているお父さんが言っていました。
今から自分が英語を出来るようになろうと思ったら80万円ではきかないから、これで子どもが英語が出来るようになるなら高くない、と。

いやお父さん、お子さんはその80万円だけで英語ができるグローバル人材になれるわけではないですよ。

英語を習わせる時、何を身につけさせたいのか(英語に自然に親しませたいのか、海外の文化に触れさせたいのか、英語で意思表示できるようにさせたいのかetc.)、どの程度のレベルを目指すのかということと、費用対効果を考えないと、「あんなに時間とお金を掛けたのに」ってことになるんじゃないかなーと思います。


ちなみに私は、自分の子どもたちにはまず、世の中には自分たちと違う言語を話し違う文化を持った人たちがいるのだ、ということを知ってもらいたい。
それが外国語や外国の文化、そして日本語と日本の文化について興味を持ち、知りたい・学びたいと思うキッカケになったらいいなあと思っています。