トンネルの貫通点付近で採取された石は、「貫通石」と呼ばれ、地中を掘り進めてついに貫いたことから、安産や学業成就のお守りとして用いられている。
工事の記念品として関係者に配布されるのが慣例ともなっている。
トンネル屋である当社本社の玄関には、それを多数飾っている。
半年ほど前であったか、前社長である父が会社に来た際(普段はほとんど来ない)突然「これをやるよ」と目の前に置いたのがこちら。
当社が福島に本社を構えるきっかけとなった工事である、東栗子トンネル(当時名称栗子第一トンネル)の貫通石である。このように桐箱に入っているのだ。
開けると、このような姿。
下に綿が敷いてあり、へその緒の保管と同じだ、と思った。
貫通の石は、よく考えてみると人間でいえばへその緒のような存在である。神事として同様の扱いをしていたのではないかと思う。
じっくり見ながら、なんだか生々しいような感動を覚えた。
自宅に残っている貫通式当日の写真。
YouTubeにアップされている、貴重な貫通時の動画。
この箱の中には、実はこちらも入っていた。
何かの化石である。
父の話によると、このトンネル掘削時にはよく化石が出たそうで、なんでもこんな化石をもって飲み屋に行くとそれで代金を精算できたという。