私って、ボロボロだったんだ。
丹沢あんパンを食べながら気づいた。
朝の4時半。
雨の音を聞いていた。
雨音なんて、久しぶりに聞いた。
東京の小さな部屋は、マンションだからなのか、雨の音を聞くことがなかった。いや、ずっとスマホの動画ばかり見ていたからなのかな。疲れて、寝てばかりいたせいなのかな。
実家への帰省。
滋養のある食べ物。
新鮮な野菜、手作りで美味しい料理。
気持ちのいいお布団。
帰省する子供を、笑顔で迎えてくれる家族。
まるで療養に来た旅館ような、それ以上のものに包まれている。
いかに、自分は元気がなかったのか。
都会の喧騒に、もみくちゃに翻弄され、疲弊していたかがわかる。
「いまだに都会で疲弊しているの?」
そんなキャッチコピーを、ネットの海で見かけたことがあある。
街の愛情量が違う。
都会の人は、疲弊し、心を冷たく閉ざし、それが、商売にも出ている気がする。
田舎の人は、新鮮で滋養の良い物を食べ、愛情の基礎値が高くて、人間からにじみ出ている気がする。
丹沢あんパンから、作り手や、買ってきてくれた家族の愛情を噛みしめて、愛情を補給していた。
実家っていいな。
実家で暮らした方が、しあわせなのかな。
家族と日々を重ねたほうが、心穏やかに過ごせるのかな。
でも、大好きな恋人も、離れる時ではない仕事も、都会にある。
実家に来て、おいしいご飯を食べて、ゆっくりしに来る機会を増やせれば、まずはそれでいいのかもしれない。
田舎の人・都会の人、という違いも、表面的なもので、田舎が楽園では無いということは、わかっている。
実家も、たまに来るから、気楽な旅行のように過ごせるけど、日々を過ごせば、わずらわしい細事に直面することもわかってる。
…とりあえず、お盆休みの帰省は、英気を養おう。
蜂蜜入りの珈琲牛乳で息を吐く。
いつの間にか、雨の音は聞こえなくなっていた。
お盆休み。
今日は、お墓参りをして、ご先祖さまに会いに行く。