ちょっとタイミングのがした感のあるレビュー。だが書く。

 

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」
 
 
公式サイト:
封切から既に2か月近くが経過。既に遅きに逸した感があるレビューになってしまった。鑑賞した時期がけっこう遅かったこともあったのだが、そもそも、韓国の大ヒット映画のリメイク、ということで、オリジナルについての知識がなく、そちらを観てみた上でレビューしてみたかったことも大きかったりする。
…ちなみに、オリジナル版の公式サイトがみつからなかった(少なくとも、日本語のサイトは。)ので、参考になりそうなリンクを貼っておきます。(※このブログは基本、DIY精神なので、あまり親切かつ冗長な説明はしない方針です…。なので、興味があったら自分でもググってみてください)
 
 
で、わかったのは、想像以上にオリジナルのプロットに忠実でつくりこんだんだなあ、ということ。
なんか日本版は観てて違和感ある展開とか、自分としては生理的にちょっと…というシーンもあったのだが、実はオリジに忠実に(もちろん和風にアレンジして)表現している、ということで、モヤモヤした気持ちが一気に腑に落ちた感がある。個人的に韓国映画は見慣れておらず、どうかなあ、という気もしていたのだけれど、観てるうちにひきこまれるのは、ベタでありつつも(というかそれゆえに)、ストーリー性がきちんと作られているからなんでしょうね。
 
脱線してどっちの話かわからなくなりそうなので、ここからは日本版のお話を。
 
「90年代」「コギャル」というキーワードが、この作品の構成要素として大きいウェイトを占めてはいるのだが、ポイントとしては、それらがけっして「いい時代だったなあ」という無条件の礼賛にはなりえないというところかな、と考えている。
むしろ、当時すでに(立派ではないが)それなりに社会人だった自分も、コギャルといった人達には眉をひそめていたような記憶がある。
ただ、オリジナルの「80年代韓国の女子高生」を日本版に持っていこうとしたときに、「90年代・コギャル」という設定になるのは、もう必然ということなのだろうし、楽曲をすべてその時代のJ-POPにまとめたのも、ある意味、いさぎよい。てか、そもそも韓国版の時代背景も古きよき時代とはいえず、当時の社会情勢が色濃く反映された作りになっている。
 
思うに、社会現象とか時代性とかいった批評はいい大人が客観的にどうこうと言っているだけで、当の女子高生達はそんなことおかまいなしである。若さというそれだけの根拠で、それぞれ悩みながらも楽しんで青春を謳歌しているのである。そして大人になって、それぞれ問題は抱えつつも、仲間の死がきっかけではあるが、昔のメンバーと再会し、懐かしさのなかから、今を生きる希望を見出していく、と。うーん、なんか恥ずかしいいいまわしになってきたぞ。まー、要するにこの映画の時代性は必然ではなく、テーマとしては普遍的なものであること。それが現代の日本人のアラフォー女性にシフトした時の青春時代のオフセットが90年代コギャル、というところに落ち着くのだろう。そして言いかえれば、細かいディテールの違いはあるにせよ、今どきの女の子たちも彼女たちなりに問題を抱えながらも青春を謳歌しているのだ、ということにもなる。
 
以下、雑感を箇条書き(若干、ネタバレ)。
  • なんだかんだと豪華キャストです。世代的にも親子で楽しめる映画です。あ、いちおうPG12ですけどね。
  • ブラック企業って日本特有かと思いこみがちだが、実はワールドワイドだったりする?(いや、たぶん程度の問題…)
  • 奈美の兄貴が韓国版では政治活動してるのに、日本版ではエヴァおたくのひきこもり…。もっとがんばれよ!
  • 広瀬すずが切れて暴れるシーンがキモい、という批判も見受けられるが、これもオリジナルをベースにふくらませたから。まー、これを演じきれるすずをシンプルに「すげー」と褒めるべきなんでしょうね。
  • すずといえば、「チアダン」にも出てた親友・富田望生ちゃんが梅役。この手のキャラでははまり役ですね。はまり役といえば、その兄の矢本悠馬がワンシーンだけ…。この人もどこにでも出てきますね。
  • にしても、見事に日本風にリメイクしたにも関わらず、タイトルの「サニー」だけが違和感があるという…。オリジナルはボニーMの曲からとっているからなんだが。たぶんオザケンの主題歌はストレートにサニー(明るい太陽的な)って雰囲気の曲を持ってこようとした結果なんだろうなあ。小室作品って、なんとなくサニーって感じはしないしなあ。まあ、ボニーMもサニーっぽくはないんだけど…。

 

 
で、さすがにもう上映してないかと思ったら、それなりにやってるとこあるみたいです。首都圏はもちろん、宮城にはないですが、東北でもまだぽつぽつあり↓
と、いうわけで恒例の予告編。

 

 

 

おまけ。オリジナル韓国版の予告編。

 

 

ではまた。