Brooke Greenberg, who rarely grew due to syndrome X, died at age of 20. With Cutler’s formula, she actually lived longer than we thought.

X症候群を患っていたブルック・グリーンバーグさん。彼女はこの難病のため成長することもなく、生まれたのと同じアメリカ・メリーランド州バルティモア市の病院で2013年10月24日に亡くなりました。享年20歳。死因は気管支軟化症だそうです。

気管支軟化症は、息を吐くときに気管や気管支の断面が扁平となり、内腔が狭くなる病気だそうです。原因は気管支の近くにある大動脈により圧迫や、気管壁中の軟骨がもろく弱いため、あるいは気管の発育異常によるものです(日本小児外科学会ホームページより)。

ブルックさんはX症候群という奇病のため、成長することはありませんでした。見た目は4、5歳でも、話すことも、歩行器なくして自立歩行することもできなかったようです。推定精神年齢はわずか9か月から1歳程度だったとのことです。

成長しないのであれば、老化もしないのではないか、不死ではないか、と思われるかもしれません。しかし、老化の前に成長しないでいると、発育異常ですから、気管支軟化症のような発育異常を原因とする病気に罹りやすいといえます。

わずか20歳でこの世を去ったブルックさん。あまりにも短い生涯でした。本来、人は何歳まで生きられるものなのでしょうか。高等生物では、種ごとに寿命の限界(限界寿命)がほぼ定まっているといわれています。限界寿命の求め方には諸説があります。たとえば、性成熟年齢は寿命の目安という学説があり、Cutler は次のような公式を提唱しています。
限界寿命=5.14 x (性成熟年齢) +9

ブルックさんの場合は、推定精神年齢が1歳でしたから、性成熟年齢とはいえませんが、仮に成熟年齢として上記の式にあてはめてみます。すると、彼女の場合、5.14 x 1 + 9 =14.14 となります。彼女の享年20歳と比べると、実は彼女は6年ほど限界寿命を超えた彼女なりの長寿を全うしたことになります。

成長なくして長寿なし。突き詰めれば、老化なくして長寿なし、とも言えるかもしれません。とすれば、いかに心身ともに健康に老いるか、長寿を全うするかを常に念頭に置いて生きていくのが大切ということになります。私の研究する分野である老年学はそのための提案をする人類貢献度の非常に高い大切な学問であり、研究意義の高さをしみじみと感じます。