「えっ、ロンが喉頭全摘術を受けて、ロンドン(カナダ・オンタリオ州)の病院に入院してるって?何でもっと早く言ってくれなかったの。退院の日には私も付き添うわ。」

私たちの長年の親友ダーリーンは、私の夫の近況を聞いて即座にそう決意してくれました。ダーリーンは人が困っているのを知ると放っておけない頼もしい女性です。


夫の退院の日、約束の時間より早めにうちに駆けつけてくれたダーリーンとまず娘をスクールバス停まで車で送っていきました。普段、もちろん娘はスクールバス停まで歩いて行きますが、万一スクールバスに乗り遅れたら学校を休んで誰もいない家で留守番しないといけなくなるので、この日だけ送っていったのです。娘が無事にスクールバスに乗り込むのを見届けると、すぐにそのままダーリーンとロンドンの病院に向かって高速道路を2時間走り続けました。


手術後7日目ぐらいから毎日のように夫と介助者から電話で様子を聞いてはいましたが、病室での夫は思いのほか元気そうでした。退院に向けてリハビリにも食事にもはげんだようです。2週間の入院を終えて退院したら、自宅療養です。肺を潤沢する医療機器の配送も、看護士、栄養士、理学療法士、言語療法士の手配もすべて病院側が済ませてくれました。カナダは医療システムが進んでおり、病気の種類に拘わらず、手術、入院、退院後の自宅療養もすべて無料です。カナダの医療システムは世界に誇れる優秀さです。


夫の自宅での食事はまず4週間はエンシュア(Ensure)という栄養ドリンクとプリンやヨーグルトのみです。エンシュアは16本必要で、6本で9ドルから10ドルほどします。でも、夫にはエンシュアが必要だと記載したカナダ政府発行文書を病院からもらったので、領収書を残しておき、確定申告時に医療費の申告すれば税金の控除が受けられます。

「私、コストコの会員だから、エンシュアを買うときは電話してね。私がついていけば安く買えるから。」

本当にダーリーンは頼もしい限りです。


ダーリーンとその夫スティーブはとても優しくて頼れる人たちです。夫と私の結婚式にも出席して婚姻立会人として文書に署名してくれました。そして、何と車でのナイアガラの滝への新婚旅行にも同伴しました(笑)。ダーリーンとスティーブの3人の息子のうち一人のかっこいい車を借りてくれて、その車に乗り込んでナイアガラを4人で旅したのでした。


持つべきものは友人とカナダ健康保険カード!