4月下旬だというのに、こちらカナダでは、先週末、最高気温が2度でした。が、この週間天気予報では最高気温16度前後と、ようやく春めいてきました。我が家の裏庭にある木々の芽も少しずつ大きくなってきています。

春といえば、昨年の春、娘と二人で近くのトレールを散歩していたときのことです。そのトレールの片側はやや鬱蒼とした木々に囲まれていて、淀んだ小川があります。新緑を楽しみながら歩いていくと、突然、エホンという、おじさんの咳払いが聞こえました。小川の方からです。

「えっ、こんな所におじさんがいるの?」

と、娘と私は足を止めました。小川もその向こう側も木々に覆われていて、あまりよく見えません。おそるおそる小川の方をのぞいてみました。誰の姿も見えません。するとまた、エホン。どうも咳払いはその淀んだ小川の中から聞こえるようです。その時、私は思わず娘に、

「河童?」と言い、少し呆然としました。いずれにせよ気味が悪くなり、二人でさっさとその場を歩き去りました。

その後、夏になり、私たち家族3人はトロント動物園のキャンプに参加しました。これは親子みんなで動物園内のテントに1泊し、参加者全員でキャンプファイヤーをするという、夢のように楽しいキャンプです(詳細は、本ブログの『カナダのサバンナに家族で1泊―トロント動物園のブッシュキャンプ』参照)。

キャンプの1日目はサバンナの、2日目は熱帯雨林の動物を見ました。熱帯雨林のパビリオンには大きな動物も小動物もいました。小動物のエリアにはカエルのコーナーがあり、ボタンを押すと各種のカエルの鳴き声が聞こえました。娘が一つ一つボタンを押していくと、ケロケロ、ゲーゲーなど聞き覚えのある鳴き声が聞こえます。その中の一つが、

「エホン。」

と。あれ、おじさんの咳払い?あ、そういえば。私たちはそのボタンを押して確かめてみました。この鳴き声に間違いありません。そのカエルの解説文を読んでみると、人の咳払いのような声で鳴くカエルとあります(カエルの名は覚えていませんが)。


河童なにさま、カエルさま~音譜