北米など英語圏への赴任、移住、国際結婚の魅力の一つが、事実上世界の共通語である英語と、少なくともいずれかの親御さんの母語である日本語が身につき、お子様がバイリンガルになるチャンスが与えられることです。そこで今回は、ミシガンでの日本語補習校講師歴6年以上の経験から、海外での日本語補習・学習に補習校は必要なのか、また十分なのかを考えてみたいと思います。


海外赴任の場合、赴任先の大半が治安の良い大都市またはその周辺都市で多くの日本人の居住する場所なので、会社から現地校と日本語補習校がセットで紹介され、比較的簡単にお子様の両校通学ライフが始まります。移住の場合も、そのような居住先を選べるので、大きな支障はないでしょう。ところが、国際結婚の場合は、居住先にたまたま日本人が多く住んでいない限り、補習校通いが容易ではなく、日本語補習・学習をどうするか、という問題が生じます。また、日本人が少ないところでは、TVジャパンというNHKの北米版が見られないという、日本語補習・学習に不利な要素が加わります。


国際結婚した私の住むカナダ・オンタリオ州ウィンザー市には日本人がわずか10人未満しか住んでいず、TVジャパンは見られません(カナダに住んでいる年数だけ紅白歌合戦を見ていません(笑))。そのため、補習校に行くなら、国境を越えてアメリカ・ミシガン州ノバイ市等(天候も良く国境越えの混雑もなければ車で4050分)か同じオンタリオ州ならロンドン市(車で2時間半程)に通うことになります。冬の積雪時の車通学の大変さを考えれば、国境を越えてノバイ市等に行く方がはるかに便利です。私はノバイの補習校に勤務する際、娘をその幼稚園に通わせていました。娘を日本語補習幼稚園に通わせてよかったな、と思う理由は


1.日本の文化(ひな祭り、端午の節句、七夕、もちつきなど)に触れられる(日本語補習校では小学生以上は学習が中心となるため、日本の文化に関連する行事を行う余裕がありません)。
2.先生とは敬語、友達とは友達口調で話す機会ができる。
3.日本人またはハーフの友達ができる。


娘は日本語補習幼稚園を卒園する前に、「最低50分もかけて車で通うのはしんどい。これから日本語は通信教育で学びたい。」と、言い出しました。上記の2と3の理由から、私としては日本語補習校に通った方がいいのではないか、通信教育で本当に日本語学習がうまくいくのか、と不安でしたが、本人の希望を優先し、通信教育に切り替えました。娘はこの4月から日本の小学校の学年で5年生となりますが、順調に日本語力が身についています。こうして、補習校もTVジャパンも日本人の友達もなく日本語力を確実に身につけるコツが分かりました。そのコツは次回の記事でお知らせします。