娘はJK(幼稚園年少組)からフレンチイマージョンスクールに入学したものの、当初から親としては不安がありました。そこで、最初の二者面談で担任の先生に相談しました。

「娘を英語、フランス語、日本語のトライリンガルにしたいな、と思っているんですが。」

きっと「そんなの無茶ですよ。」とか「そうなるとすごいですね。」と非難または驚嘆されるのは覚悟の上でした。すると、先生は

「それはいいですね!」

と大いに賞賛された上、一言

「私、クアドリンガルなんですよ。」

驚いて次の言葉がとっさに出なかったのは私の方でした。

この先生はイタリア人の両親の下でカナダに生まれ育ったおかげで、家ではイタリア語を話し、学校では英語とフランス語を学び、そして今はイタリア語と同じラテン系の言語であるスペイン語を自学自習しているとのことでした。娘のトライリンガル化を目指すのは無茶かと悩む必要など全くなかったのです。その先生が仰るには、

「このクラスには他にもモンゴル、韓国などから来たアジア系の生徒がいますが、みんな優秀です。アジア系の生徒は他言語習得に優れている、カナダ生まれの生徒たちも見習うべきだ、という内容の論文を今書いているところなんですよ。」

とのこと。アジア系生徒のおとなしくて素直な性格が、学校での母語以外の言語の習得に有利なのではないかと考えておられるようでした。

 とかく日本人はおとなしくて発言が少ない分、欧米出身者と比べて損をすると思われがちです。しかし、おとなしくて素直な分他言語の習得に優れているというプラスな可能性をもっているようです。みなさんにも、我が子をバイリンガルやトライリンガル等にするのは無理かな、と悩む前に、まずはお子様にやらせてみることをお薦めします。ただ、私は漠然と娘がトライリンガルになればいいな、と願っていただけではありません。娘も私自身も努力しています。その秘訣はまたの機会にご説明したいと思います。