ことば屋リレーエッセイ「名作から飛び出す“言葉、言葉、言葉”」 | ことば屋~美しい日本語のレシピ~

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ことば屋がお届けする美しい日本語のレシピ✨✨

🍀『ことば屋 リレーエッセイ』🍀

 ことば屋の新たな試みとして始まった✏️リレーエッセイ…✨🍀✨…。
 5月18日の「言葉の日」にちなみ、毎月18日に、🍀ことば屋🍀アナウンスルームのメンバーが🎙️、「ことば」に関する話題や豆知識をリレー形式で皆様にお届けしています✨🎁✨

 末田景子アナウンサーからバトンを受け取り、師走のエッセイは、私、柄沢恵子がお届けしますp(^^)q

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📖「名作から飛び出す“言葉、言葉、言葉”」📖

 時間に追われがちな師走。
この時期に、幸せにしたい誰かの笑顔を思い浮かべながら、走り回っている人がいます。慌ただしい12月、世界中で贈り物選びに奔走している、その人は、一体、誰でしょう?

 「ねぇ。サンタさんって、本当にいるの?」という、9歳の私の疑問に答えてくれたのは、黒縁の丸眼鏡が似合う、祖父でした。「…おっと!いるよ。だって、おじいちゃんは、サンタさんのお手伝いをしたことがあるんだから。」

 幸せな贈り物と同じ数ほど、サンタクロースがいるとすれば、幼い私にとっての「サンタさん」は、祖父でした。
本の虫だった私は、小学3年生のとき《図書委員》に任命されました。任務は、「オススメの本を学級新聞で紹介すること」と、「朝の会で音読をすること」。
私が図書委員になったことを知った祖父は、何冊もの本を贈ってくれました。
学級新聞で、「若草物語」「十五少年漂流記」「ああ無情」「家なき子」「秘密の花園」などの名作を紹介し、《ウィリアム・シェイクスピアの世界》と題して、「ヴェニスの商人」「リア王」「夏の夜の夢」の特集を組んでいきました。クラスメイトから、「面白かったよ!」と声を掛けられるたびに、誇らしい気持ちを味わったものです。

 あれから45年…。今、改めて、シェイクスピア作品を読み返しています。きっかけは、早稲田大学演劇博物館で開催中の【Words, words, words.―松岡和子とシェイクスピア劇翻訳】に足を運んだことです。展覧会のタイトルにもなっている、ハムレットの台詞「言葉、言葉、言葉。」は、宰相ポローニアスから「殿下、何をお読みで?」と、問い掛けられ、ハムレットが応じる、印象深いシーンです。歩を進めるにつれ、かつて読んだ様々な場面が鮮やかに蘇り、頭を巡りました。帰途につく頃には、「ハムレット」「冬物語」「ジョン王」…どの作品からページをめくろうかと、胸の高鳴りが止まらなくなりました。



 人生のどんな節目で、本を開くかによって、共感を覚える場面や登場人物は異なります。小学生の私は、ハムレットの母・王妃ガートルードの気持ちに寄り添うことができませんでした。ところが、母になって読み返してみると、王妃の気持ちが痛いほど分かるのです。「さあ、ハムレット、このハンカチを、額の汗をお拭き」という会話の中に、我が子との向き合い方、愛の深さが潜んでいます。シェイクスピアが紡ぎ出す、言葉の世界を旅していると、時が経つのを忘れてしまいます。

 時間に追われがちな師走だからこそ、シェイクスピア作品を読み返してみませんか?
オススメの一冊は、、、!
…おっと!使命感に燃える図書委員だった頃と同じように、本の紹介を始めてしまうところでした。あの頃から、私は、まったく変わっていないのかもしれません。

 今でも、実家の本棚にズラリと並ぶ世界の名作は、祖父からの贈り物です。
幸せを願う贈り物が、名作から飛び出してくる言葉が、あなたを笑顔にしてくれますように…。

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 師走の✤ことば屋リレーエッセイ✤は、「名作から飛び出す“言葉、言葉、言葉”」をお届けしました。
 2022年もたくさんの《いいね》をありがとうございました♥どうぞ笑顔のクリスマスをお迎えくださいね(@^^)/~~~⛄🎄✨Happy Merry Christmas 🎄✨🎅
 来年のリレーエッセイも🍀どうぞお楽しみに🎶