点字とハングル、あいうえお | ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

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ことばに宿る、不思議なチカラ。
人間の言語習得やコミュニケーション能力の奥深さはまだ解明されていないけれど、とんでもなくおもしろい。
気づいたら私のコトバ探検は本格化されていた。

点字入門講座に通い始めた。
まだ1回目。
後半は講演会だったから、学習したのはほんの1時間だけれども。

学んだのは『あいうえお』の50音に、
濁音や半濁音、
促音『っ』と長音『ー』、
そして拗音『ゃゅょ』が付く打ち方。

文字というものは本当に、なんてシステマチックなんだろう。
よくできている!

50音が基本となる日本語の点字は、母音と子音の組み合わせから成っている。
これはハングル文字の構成のされ方と共通していておもしろい…と思ったのだけれど。


ふと疑問が湧いてくる。


点字もハングルも、まず基本となる母音を教わる。
例えば点字なら『あいうえお』。

そして次にこう続くのだ。

「ローマ字で『か』と書くときは『ka』となります。
 つまり『k+a』。
 『aiueo』に『k』を表す点を付ければ『か』になるわけです」

うん、なんてシステマチック!
わかりやすい。

 でもこれ、ローマ字がわかることが大前提なのだろうか?
 それだとローマ字がわからない人はどうしたらいいんだろう?


そしてまた、考える。


よくよく思い返してみると、小学生の頃から私たちは『あ行、か行、さ行…』という言い方に慣れ親しんでいる。
さらに『あの段、いの段、うの段…』という言い方も身につけてきた。

…ということは、ローマ字基準の母音と子音という考え方は持っていなくてもいいのかもしれない。

言ってることは同じなんだけどね。


そしてここで、似ていると思った点字とハングルの違いに気づく。

日本語の点字の場合、私たちはすでにその言葉(日本語)を身につけている。
音も持っているし、漢字変換で意味を察することもできる。
知らない言葉があったとしても、それはたいした問題ではない。

でもハングルは…
基本的に未知の言葉だ。

母音の数も子音の数も違うしね。
そもそも日本語に照らし合わせて考えるものではない。本来は。
つながりは多々あるけれども、基本的に日本語は日本語で、ハングルはハングルだ。

言葉の土台があった上で学ぶ点字と、土台がないハングル。

わぁ。
全然違う!



世界中に溢れている言葉と文字。

知らないものであっても、『全然違う』とは限らない。
『同じ』と『似てる』と『違う』を見つけていくのはおもしろい。