あの夏の約束 7 【小中学生編 終】 | NMB48小説

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相手のベンチや応援席はただならぬ盛り上がりをしていたが私は時が止まった感覚だった。

ふとマウンドに目を向けるとそれは彩も同じなようだった。
打たれた瞬間にホームランを確信したかのように打球を目で追いかけるわけでもなく、ただバッターボックスの方を向き静止していた。


恵くんに肩を抱かれてなんとか整列をして挨拶をする彩の目に光はないように思えた。


(いや〜惜しかったな〜)
(最後の最後甘く入ったな)

応援に来ていた人たちも負けを惜しむように球場を出て行っている。


朱「美優紀、ここ出ようか」
美「うん、そうだね」


球場の外に出るとそこは人で溢れていた。
全国優勝に喜ぶ人。あと一歩のところで敗れ落ち込む人。


彩のチームはミーティングを終えそれぞれが荷物をまとめている。
彩を見ていると突然立ち上がり部長に何かを告げて歩き出した。

美「朱里、彩のところ行ってきてもいい?」
朱「わかった。私もあとで恵と話してくる」


そう言って私は彩の後を追った。


人目につかない階段の裏に彩は座っていた。

美「さ、やか?」
彩「渡辺、どしたん?」
美「彩が一人で歩いてるの見て来ちゃった」
彩「そっか。ここ座る?」

そう言って隣を開けてくれた。

彩・美「、、、」
美「ごめん。一人になりたかったよね」

足の向くまま追いかけて来てしまったがきっと彩は一人になりたくてここに来たのだろうと思い立ち上がった。


彩「、、、ごめんな。勝てへんかった」

すると彩が口を開いた。


彩「本間俺は口ばっかりだよな」
美「そんなことないよ、、、」
彩「でも渡辺のおかげでここまで来られたわ」
美「私はなにも、、、」
彩「、、、あの約束忘れてへんから」
美「え、?」
彩「絶対に甲子園に行く。それまで待っててくれへんか?」

私は思わず涙が溢れた。

美「ありっがとうっ」


その後朱里と合流するとどうやら恵くんと話せたようだった。

朱「美優紀、彩くんとなにかあった?」
美「ううん、なんもないよ。朱里こそ恵くんとどうだった?」
朱「来週の日曜日に2人で出掛ける約束した」
美「本当に!?良かったね」
朱「そこで告白しようと思う」
美「朱里ならきっと大丈夫」






後から聞いた話だと出掛けた日曜日、恵くんから告白されて2人は付き合うことになったらしい。


こうして彩と私、恵くんと朱里の中学3年間を掛けた夏が終わった。