私は

学生時代に、入院したことがあるんですが

それをきっかけに、ある言葉に拒否反応を示すようになりました。





それは


『病気のおかげで』


です。





病気のおかげで、生き方が変わった。

病気のおかげで、健康の有り難みが分かった。

病気のおかげで、色んな経験ができた。

病気のおかげで、新しい視点を持てるようになった。






・・・うん。


そんな綺麗事くさい言葉を並べれられるたびに

私は、こう思うのです。








『病気のおかげで』

なんて

死んでも思えないし、思いたくない。








最初は

そんな美しい言葉を飲み込めない自分を
無意識に拒否していたし

そんな風に思えない自分が、とても、嫌だった。



なんで他の人は
『病気のおかげで』って明るく言えるのに

私は、その言葉に苦しくなってしまうんだろう。



って。







でも最近、そうも思わなくなりました。




『病気のおかげで』って、全然、思えない。







・・・うん。


それで、いーよね。


って、許すことにしました。





だって、

それだけ

しんどかったんだもん。
辛かったんだもん。



  



『病気』っていう

たった二文字では

生ぬるいぐらい

しんどい思いを、いっぱいしたんだもん。





そのときの


苦しかった思い出や
心も身体も痛かった記憶を


『病気のおかげで』


なんて言葉で


塗りつぶす必要は、ない。






確かに身体は

頑張りすぎなあなたを止めようと
必死に頑張ってくれたのかもしれないけれどさ。





それとこれとは別じゃん。







病気のおかげで、いい気づきはあるかもしれん。

病気のおかげで、今までは感じられなかった有り難みを覚えるかもしれん。





でも


何度だって言うよ。




それとこれとは、別だからさ。




あのときのあなたは

きっと


しんどかったし

苦しかったし

毎日、生きるのが辛かった。







あなたのなかで

辛い思い出として
苦しい思い出として

心にこびりついている、その記憶は






そのままにしておこうよ。




無理に、その箱を開く必要なんてないからさ。






んで。

不意に、たまに、思い出したらさ。




あぁ、辛かったよなぁ。
しんどかったよなぁ。

苦しかったよね。
ほんとうに、つらかったよね。





って


記憶の中でもがき苦しむ過去の自分に
優しく声をかけてあげて。



それで、じゅーぶんだよ。







そんでさ。


例えどんなに自分の気持ちに寄り添ったとしても


一生

死ぬまで

『病気のおかげで』

なんて、思えないかもしれない。








私は、それでも、いいと思うんだ。


 




だって、人間だから。




どんなに綺麗な言葉を並べられても
飲み込めなかったり、反論したくなったりする。



あなたは、聞き分けのいいロボットじゃない。



血の通った人間なんだから。





『病気のおかげで』なんて、思えない自分も

いていいんだよ。



綺麗な言葉をするりと飲み込めない自分も

いていいんだよ。




苦しんだ自分を否定しなくていい。

辛かった過去に、無理やり綺麗なラベルを貼らなくていい。




辛かった思い出は

辛かった思い出として


そのまま、しまっておこう。










『病気のおかげで』と思えない自分を

拒否なんてしなくていいよ。

そんな自分を嫌わなくていいよ。





あなたは、人間だから。



飲み込めなくたって、いいし


飲み込めなくたって、生きていける。




そして

飲み込めないあなたにも

ちゃんと、幸せになれる権利はあるから。



大丈夫だよ。



どうか、そんな自分も優しく抱きしめてあげてね。






@どうしても譲れない何かを持っていて当たり前だよね。だって人間だもん。