たまに気に入った曲ができて、しばらずっとその曲を聴くということがありますが、私は最近では「人体ジグソー・パズル」がそうで、初夏からずっと繰り返し聴いています。転調が多いプログレっぽい前衛的な構成にブルータルなリフやボーカル、ゲボゲボ合いの手、キャッチ―なメロディーライン、ノリノリの曲調でお気に入りです。
あと、歌詞というか訳詞がいいですよね。歌詞の内容は法医学系の機関/部署が腐敗しバラバラになった死体に対してジグソーパズルのような「復元作業」を行っていくというものですが、秋山幸子さんによる珠玉の名訳が光ります。「nicely sliced and diced:そぎ切り角切り上手だね」、「A cold mannequin once resembled:おまえは人間てやつだったんだっけ」、「so mystifying:―――何が何だかワカリマセーン・・・」あたりが特にインパクトの強い箇所。
個人的にはやはり「A cold mannequin once resembled:おまえは人間てやつだったんだっけ」です。「A cold mannequin once resembled」は、「かつては冷たいマネキンに似ていた」ですかね? 以前はマネキンみたいなただの死体だったのが腐敗/バラバラになったからパズルみたいに組み上げてくよ、という意味なんでしょうけど、この一文は怖すぎます。「以前は人間だった」と言うのなら「今は一体何なんだよ?」と考えてしまいます。「A cold mannequin once resembled」を「おまえは人間てやつだったんだっけ」と訳す言語感覚が凄すぎます。マキシマム・リスペクトです。