マニュエル・ゲッチングさんの『E2-E4』は、1990年代以降はジャーマン・プログレやジャーマン・エクスペリメンタルの文脈よりも、むしろダンスカルチャーとのカラミで語られることが多いのではないかと思います。

 80年代から90年代初頭にかけては入手困難だったんじゃないかと思ったのですが、あらためて調べてみたら再発が多いですね。私はテクノブームだった90年代半ば~後半に再発日本版のCDを買いました。レコードは買ったっけ? 覚えてないです。

   Discogsのデータ

   Manuel Göttsching - E2-E4

 

 ふと思い出して検索したら、あるブロガーさんがいろいろと整理されてたのでご紹介させていただきます。以下、ろっしーさんのブログより。

   E2-E4チルドレン 1 (Sueño Latino Version)

   E2-E4チルドレン2 (Carl Craig Remake Version)

   E2-E4チルドレン3 (Basic Reshape Version)

 

 さて、この曲というかアルバムは、DJのラリー・レヴァンさんがパラダイス・ガラージでプレイしてたことで有名ですが、レヴァンさんのお葬式はこの曲/アルバムにはじまり、最後にMFSB “Love is the message”が流されたそうです。たしかREMIX誌別冊『House Legend』に書いてあったんで、REMIX誌のバックナンバーが元記事なんでしょうね。それと、“Love is the message”はどのヴァージョンだったのか詳細不明。一番人気はおそらくダニー・クリヴィットのブートでしょうが、分かりません。

   MFSB - Love Is The Message (Mr.K Edit)

 話は変わりますがこのブート、私は98年前後に旅先の福岡のレコ屋さんで買ったんですが、店員さんに試聴をお願いしたところ、店内にいた数名のお客さんがみんな踊りだしたことを覚えてます。

 

 で、戻ります。この曲/アルバムを、1989年にイタリアのDFCがハウスに仕立てカルトヒット。

   Sueño Latino - Sueño Latino (The Paradise Version)

   Sueño Latino - Sueño Latino (MV)

 さらにこれをデトロイト・テクノのデリック・メイさんがリミックス。

   Sueño Latino - Sueño Latino (Derrick May Remix)

90年代、テクノ系ライターの野田努さんが「これによってジャーマン・エクスペリメンタル~イビザ/バレアリック~デトロイト・テクノがある意味で直結した」という主旨のことを書かれてて、デトロイト・テクノ→シカゴ・ハウス→ニューヨーク・ガラージと聴き進めていった90年代らしい入門者だった私は、これらが聴きたくてたまんなかったんですよね。スエニョ・ラティーノの方は90年代に人気があったコンピシリーズの『クラシック・バレアリック』に収録されてるのを見つけ、CDを購入。

   Various – Classic Balearic Mastercuts Volume 1

デリック・メイ・リミックスは、これまた企画盤的なコンピが出て、購入。

   Sueño Latino - Sueño Latino

このコンピでThe Paradise Versionとデリック・メイ・リミックスをアナログ・レコードで入手することができました。このコンピ、たしか渋谷のシスコ・ハウス店で買ったんじゃないかと思うのですが、このレコードを売り場でみつけレジに持ってったら、ハウスDJのキムラ・コウさんが店員さんとおしゃべりしてて、私が持ってるレコードをちらっと見ながら店員さんに「これ、(キムラさんがDJしたどこかのクラブで)かけたら、布袋(寅泰)さんが喜んでたよ」とおっしゃってるのが聞こえてきました。私はBOØWYも布袋さんも全然知らないので、そのときは「布袋がハウス? なんで?」と思ったのですが、よく考えれば布袋さんは打ち込み音楽もやってましたよね。

 

 それから、デトロイト・テクノのカール・クレイグさんもこの曲/アルバムのリミックスというのか、カバーというのか、リメイク/リモデルというのかをやってますよね。

   Roxy Music - Remake Remodel (Peel Session)

   Paperclip People ‎– Remake Uno

   Paperclip People ‎– Remake Duo

「Duo」の方は『Various – Remix Trax Vol.7 - Cosmic Soul』に収録されてました。

 

 さて、今回ろっしーさんの記事で、スエニョ・ラティーノには「Winter Version」というゲッチングさん自身がギターを弾いてるヴァージョンがあることを初めて知りました。

   Sueño Latino - Sueño Latino (Winter Version)

 また、Basic Channelがカール・クレイグのリミックス(?)をさらにリミックスしているというのも初めて知りました。

   Basic Channel - Remake (Basic Reshape)

お金なくてベイシック・チャンネルはアルバムまでチェックしてなかったんですよね。あとベイシック・チャンネルは割といつでもお店に置いてあった気がします。だからそのうち揃えようと思ってたら、金欠でターンテーブルごとレコード全部売り払うことになったのかな? タンテや機材、レコード一式を手放したとき、「これで俺の青春時代は終わった」と思いました。30代前半でしたね。

 

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