天才作家、魯迅は、現代社会を3頁の短編小説で風刺して見せた。「賢人と馬鹿と奴隷」というタイトルで。

 奴隷は、奴隷主からの待遇を賢人に愚痴る。賢人は、奴隷主と利害が一致する支配者層の人間なので、目先、気持ちの良い言葉だけかけて、奴隷に地位向上などさせないように奴隷をコントロールする。奴隷は、馬鹿にも愚痴る。馬鹿は、お前が辛いなら、苦しいなら、そんな制度ぶっ壊せばいい。権利を求めて立ち上がれという。奴隷はびっくりして、馬鹿を追放して、奴隷主に褒められる。褒められたことを賢人に告げた奴隷と、「先生のおかげです」と奴隷に褒められた賢人は互いに気持ちよさそうにしている。 (終わり)


 ここで、資産額14兆円で世界6位の大富豪、ウォーレン・バフェットの言葉を紹介したい。

>私より、姉や妹の方が、才能に恵まれ賢かった。彼女たちは、結婚するというゴールを前提とした人生設計を強要されていた。その時代のおかげで私のようになるチャンスはなかった。女性の権利を向上させる社会運動のおかげで、現代は、そういう時代でなくなってきていいことだと思うし嬉しい。 (社会運動のおかげは意訳ですが、誰かの権利や地位について自然発生することはありえないので)

 話を戻そう。現代社会は、知的格差を用いた一種の階級制社会である。公教育を通じて、全員が、「思考停止」しながら「賢人」に黙って従う金太郎飴になるように洗脳教育されている。そして、大衆の多くは、「賢人」の視点でしか物事をみることができないようにされている(新聞にこう書いてあった。テレビでこう言っていた。それが多くの大衆の知識の全てだ)。新聞社、テレビ局の選んだ「賢人」の感想文こそが社会の真実なのだ。愚かで無知な大衆は、彼らと違うことをいい、馬鹿だと思われることを恐れている。


 ちなみに、「賢人」は、賢いわけではない。ただ、大衆に命令できる椅子を用意された層というだけである。例えば、日本国民をインフレーションの世界に導くアベノミクスを主導し、安倍政権のブレーンだったエール大学の浜田宏一教授は、金持ちを豊かにすれば貧乏人も豊かになるというトリクルダウン理論がまさか起きないとは思わなかった。教科書通りに社会は動かないんですねと感想文を述べていたが・・・。


 「賢人」は社会の利益の為に、何かを話してくれる。そういう洗脳もなぜか大衆は受けているらしい。原発問題が起こったとき、反原発派だった学者が、学者というものは清廉潔白というイメージがなぜか世間に流布されているが、彼らも大衆と全く同じなので、自分の欲望や利害のバイアスで感想文を述べるだけだよ。原発村の奴らは電力会社との利害関係があって感想文を話すから、彼らの意見は金のために曲がっているんだよ。彼らは自分たちの利益という最大の目的を最初から持って何かを話すだけだよという趣旨の発言をしていた・・・。


※感想文という表現は、ある事象への説明文の部分は、学者や記者の感想に過ぎないのでそう表現したものだ。


 ところで、この何十年か、「製薬会社、政府、精神科医」というものたちが、悩みを持てば精神科医にご相談ください。貴方の脳のセロトニンを調整して、脳内物質で幸福感を感じさせて差し上げますと言っている。


 ノーベル医学賞受賞者の異母兄弟がいる、オルダス・ハクスリーという作家が1932年に、「すばらしい新世界」というタイトルで、ディストピア小説を発表し、「ソーマ」という薬を描いた。支配者階級が、脳内物質の調整で幸福感を得られる薬を開発し、社会に悩みをもつ大衆に与えて支配する最悪の世界がやがてやってくると。社会への悩みや疑問は、社会制度を変えてしまうが、薬を与えておけばそうはならない。バフェットの女性論もそうだが、社会制度がまずいケースにおいて、相談先は精神科医ではない。


 精神科医は、紛れもなく、この奪う椅子と奪われる椅子が用意され、椅子取りゲームと化した社会においては奪う側の人間である。一体、大衆は誰に相談しているのだろうか? この精神科医に相談するという構造は、魯迅が風刺した「奴隷」と「賢人」の関係に酷似している。魯迅は「馬鹿」が一番まともだと思って描いたそうだが・・・。


 精神医学は、そもそも、大衆に社会を批判させない為の理屈を作っている学問であるというのは以下のリンクの投稿に譲りたい。


精神医学は、大衆支配の為の学問である。精神科医・精神病院の歴史。|フクロウになりたかった男 (note.com)


 この国で、日本最強の圧力団体と呼ばれる医師会。自民党は彼らのいいなりとも言われる。社会制度を自分たちが有利になるように作り上げていく医師会のメンバーに、苦しんだ「奴隷」たちが相談して、脳に中毒性のある薬を投与されていくのは、私にはただの地獄絵図にしか見えない。

 そして、精神科医に、この国での悩み、うつ傾向は、金があれば大抵治るよと言われたと訴えるツイートが沢山あるというのは一体・・・。 この手の投稿はかなり多い。

 こちらは精神科医で検索すると人気順で2位に表示されるツイートです。



 元医師会会長の武見は、精神科医療は、薬漬けにして一生患者を飼う牧畜業だと言っていた。大手YouTuberや芸能人が、事務所とスポンサーとの関係で何も話さなかったり、心にもないことをいい賞賛するのと同じく、製薬会社から講演料などを受け取っている医学部教授や、医者も自分の利害で物事の感想文を垂れ流すだけなのだ。この社会で発言力を持つ人は、ほぼ全員、金やポジションなどの褒美を握らされてから、物事を話しているので原則として、信用してはいけない。これは成田悠輔も言っている。



 かつて、肉屋を支持する豚という言葉が流行したが、精神科医という社会制度を支配する牧畜業者に大衆が社会制度で苦しんで相談する構造は、この言葉が最も似合うのではないだろうか。


 精神医学という特殊な学問については、noteの精神医学検索部門の人気順で、1位の以下をご覧ください。