喉の奥を切りつける様な乾いた空気が風に乗り、終わり無き償いの始まりを宣告している様に感じながら、刑務官に挨拶を済ませ門の外にに出ると、閑散とした駐車場に停めてあった車のドアが開き懐かしき声が聞こえてきた
「兄貴…。長い間ご苦労様でした。」
13年振りに見た舎弟の勇次は記憶の片隅にある幼さを微塵も感じさせず鋭い眼つきで堂々と振る舞い、導く様に私を車の後部座席に座らせ、勇次の子分らしき運転手に命じ急ぎ足で車を発進させ話しだした。
「出迎えを盛大にやりたかったんですが、法律が変わってできん様になってしもうたんですが、帰ったら総長も組長も本部で放免祝いの席を設けて待っちょりますけえ。
堪えてつかあさい…。
マルボロ買っとりますよ、吸いますか?」
ゆっくりと頷き、差し出されたタバコを口にした。
「13年振りのタバコは効くでしょうね」
勇次は昔の様にニヤリと笑いながら
「皆が待っちょいますんで高速道路を通って帰りますが、途中のパーキングエリアで食べたい物があれば寄りますが、どうされますか?」
「とくには無い。それより孝志の墓参いりに先に行きたいんやけど…。」
そう応えると勇次の顔から笑みが消え
「総長も組長も首を長くして待っちょりますけえ急ぎます」
言い切られると同時に車内は沈黙に包まれ、心中の陰は車窓に流れ写る娑婆の景色の色も奪った。
