近年、補助金の利用が活発ですね。

 

そして、補助金額も大きい!

 

 

 

一般的なものとして

 

事業再構築補助金 ・・・ 通常枠(従業員20人以下) 100万円~2,000万円(補助率 最大2/3以下)

 

ものづくり補助金 ・・・ 通常枠(従業員5人以下) 100万円~750万円(補助率 最大2/3以下)

 

採択されたら、大体のところ、事業期間は採択後1年以内

 

採択されたら、大規模な設備投資をすることになりますね。

 

 

 

このお話は、

 

簡易課税を選択+設備投資

 

のケースのみのお話です。

 

 

 

結構難しい話なので、結論を先に言います

 

・大規模な設備投資をするなら、簡易課税をやめて本則課税にした方がいいケースが多い

 

・届出のタイミングが合わないなら、課税期間の特例を利用して3か月ごとに変更もできる

 

・課税期間の特例を利用すると、消費税の申告回数が増え、大変。2年間は強制。

 

・税抜1000万円以上のものがあれば、3年間本則課税が強制。

 

 

 

(1)簡易課税と補助事業

 

基準期間における課税売上が5,000万円以下の小規模な事業者の方は、

 

簡易課税が有利なケースも多く、

 

簡易課税を選択している人も多いです。

 

 

 

そんな方には、事業年度の末日までの間に

 

来期、設備投資を予定している場合には、

 

簡易課税の方が不利になる事もあるので

 

『大規模な設備投資を予定しているのであれば、

 

事業年度が始まるまでに、教えてください』

 

と伝えています。

 

 

 

ただ、補助事業に限っては、採択されたら、『設備投資をする!』ことになるので、

 

簡易課税を選択していても、

 

来期に設備投資するかはわからないことが多いです。

 

 

補助事業を使って設備投資するときは、簡易課税が圧倒的に不利になる事が多いです。

 

 

例を挙げてみると

 

 

課税売上高2,000万円(金属製品製造業・3種)

 

通常・・・

本則課税:消費税100万円

簡易課税:消費税60万円(簡易有利)

 

 

補助金が採択され、税抜2,000万円の設備投資をする

 

本則課税:消費税100万円-200万円(設備投資分)=△100万円還付(本則有利)

簡易課税:消費税60万円

 

補助事業をする場合には、本則課税が良いか、簡易課税が良いか、十分に検討する必要があります。

 

 

 

(2)簡易課税をやめるタイミングは、課税期間が始まる前の届出が必須

 

採択されたタイミングによっては、簡易課税の選択不適用届が間に合わないケースが考えられます。

 

事業再構築補助金の結果が出たのは、令和4年6月です。

 

 

3月決算法人であれば、通常の課税期間で考えると、

 

令和4年6月だと課税期間の最中となり、

 

事業再構築補助金(通常枠)は

『交付決定日から12か月以内(ただし、採択発表日から14か月後の日まで)に、契約(発注)、納入、検収、支払及び補助事業実績報告書の提出等 のすべての事業の手続きが完了することが必要となります。』

となっていることから、課税期間内の設備投資の可能性もあり得ます。

 

 

 

設備投資を年内にしようと思えば・・・

 

 

本則課税を選択できずに、消費税の還付を受けることができませんね

 

 

(1)の例で行けば、本則なら100万円還付受けられたのに、

 

逆に簡易課税だと60万円納付が必要となり

 

160万円も損をした!

 

となってしまいますね。

 

 

 

(3)課税期間の特例で3か月ごとの課税期間にする方法

 

補助事業は採択されるかどうかわからないから、事前に手続きをするのは不可能ですね

 

そんな場合に、課税期間を3か月ごとにする、という特例があります。

 

 

 

令和4年7月のタイミングなら、10月以降を3か月ごとの課税期間にすることが可能です。

 

そうすれば、課税期間の始まる前に、簡易課税をやめる手続きが可能となり、

 

本則課税にすることで、消費税の還付を受けることが可能となります。

 

 

そして、設備投資が終わったら、簡易課税に戻してしまえばよいですね。

 

注意点として、3月ごとの課税期間となるので、消費税の申告が、年1回から年4回に増えてしまい、事務負担が増えます。

 

さらに、2年間は変更できないので、注意が必要です。

 

3月ごとだけでなく、1月ごとへの変更も可能ですが、年12回の消費税申告となるので、余計に大変です((+_+))

 

 

(4)税抜1,000万円以上の高額特定資産には注意!

 

設備投資について注意が必要です。

 

一の取引単位が、税抜1,000万円以上の場合には・・・・

 

高額特定資産に該当し・・・

 

簡易課税が3年間利用できません。

 

 


これに該当すると、しばらく本則課税が続き、課税期間の特例も、いち早く簡易課税に戻したいのであれば、3年継続することが必要です。

 

 

例で行けば

 

本則にしたお得

(設備投資分の仕入税額控除) ・・・ +200万円

 

簡易課税と比べて本則課税が損

(設備投資分を除く) ・・・ 40万円×3年= -120万円

 

比べると、トータルで80万円は得にはなりますが、効果は減っちゃいますね・・・

 

申告の手間と比較して検討する必要が出てきます。

 

 

 

 

通常の1棟、1基で考えれば、一の取引単位でOKですが、

建物の部屋や機械の部品を無理やり区分計上して、1,000万円未満としても

無理だということですね・・・

 

※一の取引の判定単位(国税庁より)

 

12-2-3

令第5条《調整対象固定資産の範囲》に規定する

 

「一の取引の単位(通常一組又は一式をもって取引の単位とされるものにあっては一組又は一式とする。)」であるかどうかは、

 

例えば、機械及び装置にあっては1台又は1基、

 

工具、器具及び備品にあっては1個、1組又は1そろい、

 

構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものにあっては社会通念上一の効果を有すると認められる単位ごとに判定する。

 

(注) この場合において、同条各号に規定する資産に係る課税仕入れであれば、課税仕入れを行った時において同号に掲げる資産として完成されているかどうかを問わないのであるから留意する。