インボイスの登録申請を検討されている方から「インボイスの申請をしたらずっと消費税を払う必要があるのですか?」との相談を受けました

 

インボイスの申請をしたらずっと消費税を納税!?

 

廃業しても?

 

・・・そんなわけないですよね

 

でも注意すべき点はあります。

 

 

 

(1)インボイスを発行し続けるためには、消費税を払う必要がある

 

課税事業者でないとインボイスは発行できません

 

したがって、インボイスを発行し続けるためには消費税を納め続ける必要があります。

 

仮に基準期間における課税売上高が1000万円以下となり、免税事業者となっても、インボイスの発行を続けるのであれば、消費税を納める必要があります。

 

インボイスの発行をやめるのであれば、免税事業者になる事は当然できます。

 

 

 

(2)インボイスの発行をやめて、免税事業者になるためには「登録取消届出書」が必要

 

国税庁のインボイスQ&A・問14登録取りやめに記載があります。

 

 

 

要約すると・・・

 

インボイスの発行をやめようとする期の「前期の末日の30日前」までに「登録取消届出書」を提出することで、インボイスの発行をやめることができます。

 

このケースでは、令和8年3月期(令和7年4月1日~令和8年3月31日)にインボイスの発行をやめようとする場合には

 

前期の末日 → 令和7年3月31日

となり

 

令和7年3月31日の30日前 →令和7年3月1日

となります。

 

つまり、

令和7年3月1日までに登録取消届出書を提出すればよいことになります。

 

 

・・・

 

この届出を出すということは、

ほとんどの場合に、

令和8年3月期の基準期間である「令和6年3月期」の課税売上高が1,000万円以下になったケースだと思います。

 

この場合に、課税事業者でなくなった旨の届出をすることとなります。

この書類の提出期限は、「速やかに」となっています。

 

いつとは明言されていませんが、提出する場合には、上の例で行けば、令和7年3月1日までに、確実にセットで、「課税事業者でなくなった旨の届出」と「登録取消届出書」を提出すればよいことになります。

 

 

 

 

当然インボイスは発行できなくなり、間違って発行すれば、偽装インボイスとなりますので注意が必要です。

 

 

なお、この「登録取消届出書」は書式が公開されていません。インボイスが始まったら出てくると思います。

 

 

 

(3)免税事業者がインボイスを発行する特例・・・2年は消費税を納める必要あり

 

免税事業者がインボイスの登録をする場合には、期間限定で、経過措置があります。

 

①通常の場合

通常、インボイスの登録には「登録申請書」だけではなく、

 

免税事業者のため消費税の課税事業者をあえて選択するということから

「課税事業者選択届出」

が必要となります。

 

さらに、10月1日からスタートするため、10月1日から課税期間の末日までを課税期間としないと、無駄な消費税を払うこととなるため、事業年度のうち一部だけを課税期間とするための

「課税期間特例選択・変更届出」

も提出しないといけないことになります。

 

②特例(経過措置)

3種類も・・・

大変ですよね

今まで消費税の申告もしてこなかったのに、こんな複雑なことは無理~ってことで、

 

免税事業者のインボイスの登録には「登録申請書」だけでOK、「課税事業者選択届出」「課税期間特例選択・変更届出」は不要という特例があります。

インボイスの登録申請書に記載された「登録日」から課税期間がスタートするという内容です。

 

令和5年10月1日から令和11年9月30日までの属する課税期間中に登録を受ける場合の特例です。

 

ただ注意点があります。

 

消費税の納税義務が2年間課せられるという点です。

 

課税事業者選択届出と同じ効力があるためですね。

 

すぐにはやめられません。2年縛りがあるので注意ください。

 

 

 

(4)なんでこうなった「インボイス」

 

(2)で説明した通り、30日前までに「登録取消届出書」となっています。

 

この30日前までにが厄介です。

 

ちなみに、現在インボイス発行について、特例がありますが、原則的には、インボイスの登録は1月前までに「登録申請書」を提出することとなっています。

 

登録 ・・・ 1月前まで

取消 ・・・ 30日前まで

 

なんでこうなったΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン

 

 

特に2月28日が決算期なら

登録 ・・・ 2月28日の 1月前まで → 1月31日まで

取消 ・・・ 2月28日の 30日前まで → 1月29日まで

 

 

登録取消の設例は3月決算法人だったので、比較してみました

 

 

 

閏年を除く、末日決算で考え、祝祭日を無視すると

 

(決算日)→ 登録申請の期限⇔取消届出の期限 

 

1月31日→ 前年12月31日⇔1月1日

 

2月28日→ 1月31日⇔1月29日

 

3月31日→ 2月28日⇔3月1日

 

4月30日→ 3月31日⇔3月31日

 

5月31日→ 4月30日⇔5月1日

 

6月30日→ 5月31日⇔5月31日

 

7月31日→ 6月30日⇔7月1日

 

8月31日→ 7月31日⇔8月1日

 

9月30日→ 8月31日⇔8月31日

 

10月31日→ 9月30日⇔10月1日

 

11月30日→ 10月31日⇔10月31日

 

12月31日→ 11月30日⇔12月1日

 

 

赤字が差異が出る月です。

 

 

 

 

 

エクセルで試算しないと自信ないくらいです。

 

1月前までに統一してほしいですね

 

 

(5)まとめ

 

・インボイスを発行し続けるのなら消費税を払い続ける必要がある

 

・インボイスの届出をしても、「登録取消届出」でやめられる(様式はまだ未公表)

 

・インボイスの取消をした後は、インボイスは発行できない

 

・「登録取消届出」には期限があるので早めに

 

・免税事業者がインボイス届出特例を使うと、2年縛りがある