永福町から下北沢に向かう瀬田貫井線が神田川を渡る手前の坂の途中に石柱が立って

石柱の後ろのお堂には安永6年（1777）に造立されたという子育地蔵と呼ばれている地蔵菩薩の立像が祀られています。

その道を入って少し行くと永福町という名前の由来となっている曹洞宗のお寺万歳山永福寺があって、門前には禅宗のお寺でしばしば目にする禁葷酒（境内に、酒・葷〈匂いの強いニンニク等〉の境内持ち込み禁止）の石碑が立っています。

境内に入るとすぐ右手には鐘楼

鐘楼の脇には三層の塔があって、その脇の石碑には「三層塔　九世紀造　　寄進現代の名工大場昭　妻幸江」などと刻まれています。

本堂の前に百日紅（サルスベリ）の花が咲いて

本堂には寄木造の釈迦如来像が安置されていますが、不動・毘沙門の両像を脇侍とした、鎌倉期の仏師快慶（かいけい）の手になるものと伝えられる本尊の木造十一面観音立像は非公開だということです。

墓地への入り口には地蔵尊の坐像があって

その先の石仏群の隣には「子授け地蔵」の名で村人に信仰された正徳5年（1715）銘の少しお腹の膨らんだ感じの地蔵菩薩の石像があります。

集められている石碑や石仏はお墓を建て替えた時に残った古い物を集めているものだそうです。

その中に比較的新しいと思える水子地蔵菩薩の像があって

さらに進むと六道地蔵尊が並んでいます。

境内から出て西側にある墓地に入る門の脇には三基の石塔が屋根付きのスペースに祀られています。

右の庚申塔は笠付の角柱型で青面金剛・二鶏、・三猿の図で高さは105㎝程で欠損している部分もあります。

中央にあるのが指定文化財の五輪塔型庚申塔で、造立年は正保3年（1646）とあり杉並区で最古の庚申塔で高さは137㎝程あります。

左の舟型の地蔵菩薩立像は元禄4年（1691）の造立でやや自然風化が進んでいるようです。

浄土宗のお寺村高山栖岸院はここに移転する以前の麹町にあった江戸時代には住職が将軍に単独で拝謁できる“独礼の寺格”を許されていたといいます。

境内に入ると五重の石塔が立って塀際には舟形の石仏があります。

本堂の前には石灯籠が立って

本堂には本尊の阿弥陀如来と脇侍の観音菩薩・勢至菩薩が安置されています。

また、怪談話「番町皿屋敷」のこのお菊さんの墓がこのお寺にありますが、大正時代に現在地へ移転する前にあった麹町は番町のすぐ近くなのです。

　（お菊さんの墓というのはここの他にも幾つかあるようです。）

永福寺・栖岸院