直木賞受賞作。
手にしたのは10年以上前のこと。
「永遠の仔」などでも有名な天童荒太さんの著作はこれが初めてだった。
単行本版の表紙、独特の存在感を放つ彫刻の写真。
その作家の方が今春亡くなられたという記事を読み、久々に思い出す。
縁もゆかりもない他人の死を悼みながら旅する男。
夫を殺害し、服役後社会に戻ってきた女。
悼んでいる間にも、周囲では様々な問題が起きているし、そちらにも目を向けた方が良いのでは?
と、思わないでもなかったけれど。
終始暗いトーンでストーリーは進み、読み終えた後もスッキリ!という気持ちにはなれなかった。
途中、殺害したはずの夫の首が、背後から現れ顔のすぐ横で喋り出す。
という女の幻覚シーンが想像するとなかなか衝撃的で
何度も何度もこんなのが見えて、自分なら完全に精神的にやられてしまう…とも感じた。
映像化もされているようだけど、まだ見ておらず、この部分が一体どのように表現されたのかというのも気になるところ。