去年新型コロナに感染した。
まだ、一週間程度の隔離が推奨されていた時期、たまたま手元にあったのがこの一冊だった。
「横溝正史が好きなら、きっと好き」
と聞きつけ、手に取ったもの。
朝から晩まで部屋に1人。身も心も弱っている時には、ややヘビーだったけれど明るい時間を選んでなんとか療養中に読破。
(表紙からしておどろおどろしいので、暗くなってからは裏向けに置いておいた。)
結論、好き。
古き日本の暮らしの描写も、理不尽な習わしも、得体の知れない怪異も、若干空気の読めなさが気になる刀城言耶という「名探偵」も。
まず、プロローグとも言える手記から始まる。
これからして既に薄気味悪い。
その後に続くのが、六地蔵のわらべうたのとおりに、次々に起こる殺人事件。
当然、最終的に犯人が明らかになるのだけれど、そのトリックの巧妙さよりも、全体的に重く、粘っこく惹きつけられるストーリーの展開に圧倒されたように思う。
「刀城言耶シリーズ」10数冊出ているそうなので、他のものも読んでみたいと思った。
あと、名前が似ているせいか、作中の「春菊さん」、「悪魔がきたりて笛を吹く」の「菊江さん」とイメージが被ってしまい困った💧別人なのに。